最新記事

ウクライナ情勢

ロシア軍、ウクライナ侵攻で想定以上の抵抗 一部失速=米国防総省高官

2022年2月26日(土)14時15分
ウクライナ東部のドネツク市を走行する戦車

米国防総省高官はロシアはウクライナ侵攻にあたり、首都キエフへの進撃を含め、想定より大きな抵抗を受けているとし、勢いが一部失われているように見えるとの認識を示した。写真は2月22日、ウクライナ東部のドネツク市を走行する戦車(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)

米国防総省高官は25日、ロシアはウクライナ侵攻にあたり、首都キエフへの進撃を含め、想定より大きな抵抗を受けているとし、勢いが一部失われているように見えるとの認識を示した。

24日にウクライナ侵攻を開始したロシア軍は25日早朝に攻撃を再開し、首都キエフはロケット攻撃を受けた。キエフでは住民が地下シェルターなどに避難する中、当局は住民に対し首都防衛のために火炎瓶を用意するよう呼び掛けるなど、事態は緊迫化している。

ただ米国防総省高官は匿名を条件に「ウクライナはロシアの想定を超えて抵抗しているとわれわれは見ている」と述べ、ウクライナ軍の指揮統制は現時点で影響を受けていないと指摘。「ロシア軍は、ロシアが可能と想定していたほどのスピードでキエフに迫っていない」と述べた。

その上で、ロシアは現時点でウクライナ上空の制空権は掌握していないとし、「全般的にロシア軍は勢いをやや失っている」と語った。

ただ、ロシアはウクライナ周辺に配置した軍の大部分をまだ動員していないとし、攻撃に専念しているのは3分の1程度にすぎないと指摘。ウクライナ東部ドネツク州のマリウポリ西方の地域に対し、海と陸からの攻撃が実施される兆候も出ていると述べた。

また、米国はこれまでに200発を超えるミサイルの発射を確認したとし、これまでのところロシア軍の攻撃の大部分は軍事施設を標的としているものの、一部のミサイルは民間人が住む住宅地に着地したと指摘。過去24時間で数百人の米国人がウクライナから退避したことも明らかにした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ウクライナ危機で分断される欧州 米と連携強める英 宥和政策の独 独自外交唱える仏
・【ウクライナ侵攻軍事シナリオ】ロシア軍の破壊的ミサイルがキエフ上空も圧倒し、西側は手も足も出ない
・バイデン政権、ロシアのウクライナ侵攻準備を懸念「偽旗作戦の工作員が配置された」


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンドのレバレッジ、5年ぶり高水準=ゴール

ビジネス

英PMI、6月は予想以上に改善 雇用削減と地政学リ

ビジネス

アングル:三菱重工、伝統企業が「グロース」化 防衛

ワールド

アングル:イラン核開発、米軍爆撃でも知識は破壊でき
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 2
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 9
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中