最新記事

日本社会

高齢者の職場にこそ求められる「働き方改革」

2022年1月13日(木)19時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
働く高齢者

今後働く高齢者はますます増えていくと予想される maroke/iStock.

<65歳以上の就業者のほとんどが事務職以外の現業職で、高齢層の労災もこうした職場で多発している>

人口の高齢化がとまらず、日本社会の維持存続を危ぶむ声もある。生産人口(15~64歳)が高齢人口(65歳以上)の何倍かを算出すると、1950年では12.1、人口ピークの2005年では3.3、未来の2065年では1.3だ。12人で1人の高齢者を支える「お神輿」だった状態が、3人で1人を支える「騎馬戦」になり、未来はほぼ1対1の「肩車」になる。

これから先、65歳以上を高齢期(引退期・被扶養期)とみなすことはできないだろう。社会の存続が危ういし、個人にしても「人生100年」の時代に35年もの間を引退者として生きるのは経済的にも心理的に不可能だ。働き続ける高齢者も増え、2015年の国勢調査によると65歳以上人口の22.5%が就業している。就業者全体に占める65歳以上の割合は12.8%で、働く人の8人に1人にあたる。これが2割、3割になる日は遠くない。

だが高齢者の場合、働き方は独自のものとなっている。働く人の従業地位と職業の分布を、全体(約5892万人)と65歳以上(約753万人)で比べると<表1>のようになる。

DATA220113-CHAR01.jpg

従業地位を見ると、高齢層では非正規雇用が32.7%と最も多い。その次はフリーランス(雇人のない業主)が23.2%で、正規雇用は14.6%しかいない。就業者全体の分布とはだいぶ違う。

職業を見ると、農林漁業が15.1%で最多となっている。2位はサービス職、3位は販売職だ。管理職、専門技術職、事務職といったホワイトカラーは4人に1人で、残りは体を動かす現業職であることが知られる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 6

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中