最新記事

スパイ

英情報機関MI-5「中国共産党が女性スパイ使い議員らに影響力」

2022年1月14日(金)12時45分
中国共産党の女性スパイ、クリスチャン・リー

中央の女性が問題のクリスチャン・リー Channel 4 News - YouTube

英情報局保安部(MI5)は13日、中国共産党が英議員への不適切な影響力行使を狙い、代理人の女性を雇っていたと警告する文書を下院に送付した。

MI5が送付したのはクリスチャン・リーという名の女性の写真と警告文。英政治に「干渉する活動」に関与していたとしている。リンジー・ホイル下院議長が警告を議員に回覧した。

ホイル氏によると、MI5は女性が「香港と中国に拠点を置く外国籍の人々」の代理として現職議員らへの献金を手助けしたとみている。ホイル氏は、女性が現在は解散している超党派議員グループ「チャイニーズ・イン・ブリテン」に関わっていたと語った。

パテル内相は記者団に対し、現状では女性の行動は刑事訴追の範囲には達していないと述べた。ただ、政府が警告を出すことで、女性の不適切な影響力の試みについて議員に知らせることができるとも語り、中国共産党の代理で働く個人が英議員を標的にすることを「深く懸念している」とも述べた。

政府当局者によると、女性は法律事務所の創立者。法律事務所のウェブサイトによると、在英の中国大使館への法的助言などを業務内容に挙げている。事務所はロンドンとバーミンガムにある。当局への届け出書類によると、女性は英国籍。ロイターがバーミンガム事務所に電話したところ、出た女性は「われわれは電話対応を一切していない」と述べた。ロンドン事務所と中国の在英大使館はコメント要請に応じていない。

野党労働党のバリー・ガーディナー下院議員は、同氏事務所の調査員費用として女性から何十万ポンドかの献金を受け取ったことを認めたが、女性のことでは何年も情報機関当局に連絡していたとした。ガーディナー氏は女性の息子を事務所で雇っていたが、息子は13日付で辞めた。

保守党のダンカンスミス元党首は政府にこの問題での最新情報を要求。女性がまだ国外退去させられていないことを批判し、英議会へのアクセスを得ようとする人々の認証手続きの厳格化も要求した。

英国と中国の関係は近年、香港や中国の新疆ウイグル自治区などの問題を巡って悪化している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米労働市場にリスク、一段の利下げ正当化=フィラデル

ワールド

トランプ氏やエジプトなどの仲介国、ガザ停戦に関する

ワールド

トランプ氏、ゼレンスキー氏と17日会談 トマホーク

ワールド

トランプ氏、ガザ停戦でエジプトの役割を称賛 和平実
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中