最新記事

暗殺未遂

エリザベス女王を殺そうとした狂信者の予告動画が怖い

Queen Elizabeth's Foiled Crossbow Assassin Talks of 'Revenge' in Disturbing Video

2021年12月28日(火)17時22分
イワン・パーマー
エリザベス女王

殺害を予告した男は、エリザベス女王がいるウィンザー城の敷地内まで迫っていた Victoria Jones/REUTERS

<クリスマスにクロスボウを持って女王のいるウィンザー城の敷地に入った男は、大英帝国時代の虐殺の恨みを晴らそうとする狂信者だった>

12月25日、クロスボウを持ってエリザベス女王が滞在するウィンザー城の敷地内に侵入したとされる男が、「クリスマスの日に女王を暗殺する」と計画を語っている動画が公開された。

英大衆紙サンが入手したこの動画に映っている人物は、19歳のジャスワント・シン・チャイルと見られる。この男は、覆面をつけてフードをかぶり、黒いクロスボウをカメラに向けている。


動画では、音声を変えた声で、「自分がこれまでしてきたことと、これからするつもりのことについてはすまないと思う」と述べたうえで、「英王室のエリザベス女王の暗殺を試みる」と宣言している。

1919年の大虐殺

12月25日の午前中にスナップチャットに投稿されたこの動画に映る男は、この暗殺計画について、イギリス領時代の1919年にインドで起きた「ジャリヤーンワーラー・バーグの大虐殺」で死亡した者たちのための「復讐」だと述べている。

「アムリットサル事件」としても知られるこの虐殺は、1919年4月にパンジャブ地方のアムリットサルで起きた。イギリス軍が、非武装のインド人の大群集に発砲した事件だ。

当時、ジャリヤーンワーラー・バーグ公園に集まっていた群集には、戦争にともなう重税やインド兵の強制的な徴集に抗議する人たちのほか、シーク教の新年の祭り「バイサーキー」を祝う人たちも含まれていた。

イギリス軍の発砲により、少なくとも379人が殺害され、1200人以上が負傷した。2019年には、当時の英国首相テリーザ・メイがこの虐殺事件について、「英国とインドの歴史における恥ずべき傷」だと述べた。

くだんの動画の別の部分では、クロスボウを持った男が、女王暗殺計画は「人種を理由に殺され、侮辱され、差別されてきた人々のための復讐でもある」と語っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル一時155円台前半、介入の兆候を

ビジネス

米国株式市場=S&P上昇、好業績に期待 利回り上昇

ワールド

バイデン氏、建設労組の支持獲得 再選へ追い風

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中