最新記事

中台関係

中国、多国籍企業にリトアニア製品のボイコット要求 台湾の代表機関設置めぐり

2021年12月9日(木)16時37分
リトアニアの国旗とEUの旗

リトアニアの政府高官と業界団体がロイターに明らかにしたところによると、中国は多国籍企業に対し、リトアニアとの関係を絶たなければ中国市場から締め出すと警告している。写真はEUの旗とリトアニアの国旗。リトアニア・メディニンカイで2020年9月撮影(2021年 ロイター/Ints Kalnins)

リトアニアの政府高官と業界団体がロイターに明らかにしたところによると、中国は多国籍企業に対し、リトアニアとの関係を絶たなければ中国市場から締め出すと警告している。

「台湾」の名を冠した事実上の大使館である代表機関がリトアニアに設置されたことを受けて、中国政府は先月、リトアニアとの外交関係を格下げした。

中国外務省のコメントは取れていない。

リトアニアと中国の直接貿易はそれほど多くないが、リトアニアには家具、レーザー、食品、衣料などを多国籍企業向けに製造する企業が多く、そうした多国籍企業は中国に製品を販売している。

リトアニアのアドメナス外務副大臣はロイターに「(中国は)多国籍企業に対し、リトアニア製の部品などを使用すれば、中国市場での商品の販売・調達を認めないとのメッセージを送っている」と指摘。

「一部の企業はリトアニアのサプライヤーとの契約をキャンセルした」と述べた。具体的な社名は明らかにしなかった。

リトアニア産業連盟の代表も、国内サプライヤーから商品を調達している一部の多国籍企業が中国の標的になっていると指摘。「これまでは脅しにすぎなかったが、今はそれが現実のものになっている」とし、標的となっている多国籍企業は欧州企業で、多くのリトアニア企業と取引があると述べた。

政府高官によると、リトアニアは国内企業を中国の報復措置から守るため、基金を設立することを検討している。

ランズベルギス外相は、欧州委員会に「欧州連合(EU)レベルで強力な対応が必要だ」と支援を要請。欧州委は加盟国に対するあらゆる種類の政治的圧力と強制的な措置に対抗する用意があると表明している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米、重要鉱物・レアアース供給確保で枠組み 両国首

ワールド

ベネズエラ、トリニダードとのエネルギー開発協力を停

ワールド

中国企業、インドネシアでアルミ生産拡大 供給過剰懸

ワールド

前ブラジル大統領が異議申し立て、クーデター計画巡る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中