最新記事

東南アジア

ミャンマー、軍政と反体制派がSNS上で「情報戦争」 国民の心つかむのはどちらか

2021年11月6日(土)10時23分
ミャンマーで道を挟んでにらみ合う警察と軍事クーデターに反対する人々

ミャンマーの軍事政権が街頭での抗議行動の沈静化を図る一方で、ソーシャルメディア(SNS)上でもそれと並行する戦いが展開されている。写真は道を挟んでにらみ合う警察と軍事クーデターに反対する人々、3月にマンダレーで撮影された提供写真(2021年 ロイター)

ミャンマーの軍事政権が街頭での抗議行動の沈静化を図る一方で、ソーシャルメディア(SNS)上でもそれと並行する戦いが展開されている。軍事政権の戦術に詳しい8人の情報提供者によれば、同政権側ではフェイク(偽装)アカウントを使って反対勢力を批判し、「国家を不正選挙から救うために権力を奪取した」というメッセージを強要しているという。

オンラインプラットフォームとしてミャンマー国内で主流であるフェイスブックは、2月1日のクーデター以来、ミャンマー軍のアカウントを停止した。これに対し軍は数千人の兵士を動員し、一般に「情報戦」と呼ばれている行為に従事させている。軍関係者4人を含む上述の情報提供者らが明らかにした。

彼らがロイターに明かしたところでは、ソーシャルメディア上での運動は、軍による全般的なプロパガンダ作戦の一翼を担っている。国民に軍事政権の見解を拡散するとともに、反政府勢力を監視し、オンライン上で裏切り者として攻撃するのが任務だという。

ニイ・スータ大尉(31)は2月末に軍を離脱し、反政府勢力に身を投じた。ニイ・スータ氏は「兵士らは偽装アカウントを複数開設した上で、特定のコンテンツ領域や論点で投稿するよう命じられる」と語る。「彼らはオンラインでの活動を監視し、(反クーデター側の)オンライングループに参加して、その動きを見張っている」という。

同氏は、離脱するまで軍のプロパガンダ作戦に参加し、軍トップであるミン・アウン・フライン国軍司令官の演説原稿を書いていたという。

SNSにおける戦術について軍事政権の広報官に繰り返しコメントを求めたが、回答は得られなかった。広報官は9月、国軍が所有する「ミャワディ・テレビジョン」で、国内情勢に関する「フェイクニュース(偽情報)」を拡散しているとしてメディア企業グループと反政府活動家を非難した。

SNS上での軍事政権の動きに詳しい8人の情報提供者は、報復を受ける恐れを理由にみな匿名を希望しているが、上述のニイ・スータ氏と、4月に軍を離脱したリン・テット・アウン大尉の2人は例外だ。

「タッマドー」と呼ばれる国軍は、文民指導者であるアウン・サン・スー・チー氏を失脚させてから9カ月、街頭での抗議行動を鎮圧する一方でオンラインでのキャンペーンを推進。同氏が率いる国民民主連盟(NLD)が、不正により2020年11月の選挙に勝利したと主張している。ただ国際的な選挙監視団は5月、投票は公正に行われたと報告している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中