最新記事

米中関係

習近平もバイデンも「さすが」ベテランだった...初会談にあった現実的な成果

Kind of a Big Deal

2021年11月23日(火)15時53分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
オンライン米中首脳会談

バイデンと習のオンライン首脳会談は終始実務的な雰囲気のなか、予定を上回る3時間超にわたり続いた Jonathan Ernst -REUTERS

<超大国の対立が「衝突」に発展することを回避する──。米中の2人のベテラン政治家が見せつけた重要な共通認識とは>

ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が11月15日、オンラインとはいえ初の首脳会談を開いたことは、特大ニュースにはならなかった。だがそれは、多くの識者が示唆するような「どうってことない出来事」でもなかった。むしろ、新たな米中関係の道を開く(かもしれない)重要な結果をもたらした。

バイデンは今年6月、たとえ大きな結果をもたらす可能性は乏しくても、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談を開くべき大きな理由を3つ示した。

まず、「国家の指導者同士が面と向かって話をすることに代わるものはない」から。第2に、米ロは2大核保有国として、「安定的で予測可能な」関係を維持する「特別な責任」を共有しているから。そして第3に、国益の違いが衝突につながる可能性を最小限に抑えつつ、「相互に利益となる領域では協力できるだろう」からだ。

ジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は16日、前日のバイデン・習会談についても、ほぼ同じ説明をした。ただし、米中の場合は2大核保有国としてではなく、世界最大の経済大国として、2国間関係を安定させる義務があるとした。

具体的な合意はないが

今年1月にバイデンが大統領に就任したとき、米中関係は近年で最悪の状態にあったが、その後数カ月で、さらに悪化した。

トランプ前政権時代に始まった貿易戦争は今も続いているし、両国の軍トップは定期的な会合を開かなくなった。米政府高官は、台湾をめぐる戦争の可能性を公然と口にし、3月にアラスカで開かれた米中外務閣僚会談は、怒号が飛び交う展開になった。

だからこそ、たとえ具体的な成果はなくても、バイデンと習の会談が3時間以上にもわたりビジネスライクに終始した事実は、それだけで大成功と見なされるべきだ。

確かにプーチンとの会談では、「戦略的安定」を維持する対話の復活が確認されたし、その直前には新戦略兵器削減条約の延長が決まったが、中国との間でこの種の合意がまとまる気配はない。

それでもバイデンと習は、米中が直面するあらゆる問題について、時には「驚くほど率直に」意見を交換したと、サリバンは16日の会見で述べた。その目的は、「具体的な課題」について高官級協議を開始または再開して、「両国間で進捗を図れる部分を一つ一つ見極める」ことだ。

進捗を図れない部分でも連絡を取り合い、意見の相違が衝突に発展する可能性を最小限に抑える必要があるという。実際、サリバンは今後の米中間の協議で重要になるのは、「違いを管理する方法」を見つけることだと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏外務省、ラング元文化相を8日に呼び出し エプスタ

ワールド

米、新START失効受け新たな軍備管理合意呼びかけ

ビジネス

国連の世界食料価格、5カ月連続下落 需要増でコメは

ビジネス

台湾ウィストロン「AIはバブルではない」、エヌビデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 8
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 9
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中