習近平もバイデンも「さすが」ベテランだった...初会談にあった現実的な成果
Kind of a Big Deal
バイデンと習のオンライン首脳会談は終始実務的な雰囲気のなか、予定を上回る3時間超にわたり続いた Jonathan Ernst -REUTERS
<超大国の対立が「衝突」に発展することを回避する──。米中の2人のベテラン政治家が見せつけた重要な共通認識とは>
ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が11月15日、オンラインとはいえ初の首脳会談を開いたことは、特大ニュースにはならなかった。だがそれは、多くの識者が示唆するような「どうってことない出来事」でもなかった。むしろ、新たな米中関係の道を開く(かもしれない)重要な結果をもたらした。
バイデンは今年6月、たとえ大きな結果をもたらす可能性は乏しくても、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談を開くべき大きな理由を3つ示した。
まず、「国家の指導者同士が面と向かって話をすることに代わるものはない」から。第2に、米ロは2大核保有国として、「安定的で予測可能な」関係を維持する「特別な責任」を共有しているから。そして第3に、国益の違いが衝突につながる可能性を最小限に抑えつつ、「相互に利益となる領域では協力できるだろう」からだ。
ジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は16日、前日のバイデン・習会談についても、ほぼ同じ説明をした。ただし、米中の場合は2大核保有国としてではなく、世界最大の経済大国として、2国間関係を安定させる義務があるとした。
具体的な合意はないが
今年1月にバイデンが大統領に就任したとき、米中関係は近年で最悪の状態にあったが、その後数カ月で、さらに悪化した。
トランプ前政権時代に始まった貿易戦争は今も続いているし、両国の軍トップは定期的な会合を開かなくなった。米政府高官は、台湾をめぐる戦争の可能性を公然と口にし、3月にアラスカで開かれた米中外務閣僚会談は、怒号が飛び交う展開になった。
だからこそ、たとえ具体的な成果はなくても、バイデンと習の会談が3時間以上にもわたりビジネスライクに終始した事実は、それだけで大成功と見なされるべきだ。
確かにプーチンとの会談では、「戦略的安定」を維持する対話の復活が確認されたし、その直前には新戦略兵器削減条約の延長が決まったが、中国との間でこの種の合意がまとまる気配はない。
それでもバイデンと習は、米中が直面するあらゆる問題について、時には「驚くほど率直に」意見を交換したと、サリバンは16日の会見で述べた。その目的は、「具体的な課題」について高官級協議を開始または再開して、「両国間で進捗を図れる部分を一つ一つ見極める」ことだ。
進捗を図れない部分でも連絡を取り合い、意見の相違が衝突に発展する可能性を最小限に抑える必要があるという。実際、サリバンは今後の米中間の協議で重要になるのは、「違いを管理する方法」を見つけることだと述べた。