最新記事

パンデミック

欧州コロナ感染再拡大でロックダウンなど規制続々 ドイツも追随との観測も

2021年11月20日(土)09時19分
独ドレスデン

欧州で新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)が再導入され、経済悪化を懸念して金融市場が動揺している。11月19日、独ドレスデンで撮影(2021年 ロイター/Matthias Rietschel)

欧州で新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)が再導入され、経済悪化を懸念して金融市場が動揺している。

オーストリア政府は19日、完全ロックダウン(都市封鎖)を再導入すると発表した。西欧で今秋、ロックダウンが再導入されるのは初めて。

これを受けて、感染が拡大している隣国ドイツも追随するとの観測が浮上。シュパーン独保健相は19日、国内の新型コロナウイルス感染状況が極めて深刻なため、ワクチンを接種した人も含めてロックダウン(都市封鎖)を排除できないと述べた。

米製薬大手ファイザーやメルクが開発中の新型コロナウイルス感染症の経口薬が入院や重症化の可能性を低下させるとの期待に水を差す格好となった。

ロックダウン懸念は金融市場に幅広く影響を及ぼしている。19日の金融市場では、株式や原油が下落し、ドルが上昇した。

感染が再拡大する中、欧州では複数の国が経済活動の制限措置を導入した。その範囲は、オーストリアの完全封鎖から、オランダの部分的な封鎖まで様々となっている。また、独、チェコ、スロバキアの一部では、予防接種を受けていない人を対象に制限を課している。

各国が再びロックダウンを行うかどうかは、ワクチン接種率やマスク着用義務化の有無、ブースター接種の準備度合いなど、さまざまな要因が左右する。

独では、入院率が一定の基準に達した場合にさらなる措置を決定するとしている。

一方、フランスのマクロン大統領は、同国ではワクチン接種などを証明する「健康パス」によって感染拡大が抑制されているため、他の欧州各国のようにワクチン未接種者に対する制限措置を導入する必要はないとした。

また、感染者数が他国と比べて多い英国では、政府が15日、新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)の対象年齢を40歳以上に拡大すると発表した。ワクチンによる効果の低下を防ぎ、経済活動の維持を目指す方針。

アナリストらによると、各国の措置は、昨年の全面的なロックダウンほどの影響は及ぼさないとみられるものの、特にクリスマスに小売業や接客業が打撃を受けた場合、第4・四半期の回復に影響を与える可能性がある。特に、独で完全なロックダウンが実施された場合はより深刻な事態になるとみられている。

CMCマーケッツ(英)のチーフマーケットアナリスト、マイケル・ヒューソン氏は「ワクチン接種によって通常のクリスマスを迎えることができるという期待は、少なくとも欧州では煙のように消えてしまった。これが欧州全域に波及するのではないかとの不安がある」と懸念を示した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界の投資家なお強気、ポジショニングは市場に逆風=

ワールド

ガザ和平計画の安保理採択、「和平への第一歩」とパレ

ワールド

中国の若年失業率、10月は17.3%に低下

ワールド

ツバル首相が台湾訪問、「特別な関係を大切にしている
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中