最新記事

事故

ドーバー海峡で難民のゴムボートが転覆 子ども含む27人死亡、仏警察が斡旋業者を逮捕

2021年11月25日(木)11時55分
ドーバー海峡で起きた難民ボートの転覆事故

ジョンソン英首相は24日、ドーバー海峡で起きた難民ボートの転覆事故で少なくとも31人が死亡したことについて「衝撃を受け、愕然とした」と述べた。またフランスに対し、同海峡横断を阻止する対策を講じるよう求めた。写真はドーバー海峡で撮影(2021年 ロイター/Gonzalo Fuentes)

英仏海峡で不法に英国に渡ろうとした移民を乗せたボートが沈没し、27人が死亡したことを受け、英仏政府の当局者は24日、互いに移民問題への対策を強化するよう注文を付けた。

同海峡で起きた移民関連の事故としては史上最悪の犠牲者を出した。フランス政府は先に、31人が死亡したと発表していたが、その後、27人に修正した。

ジョンソン英首相は死者数に「衝撃を受け、愕然とした」と述べ、フランスに対し、同海峡横断を阻止する対策を強化するよう求めた。移民の越境をあっせんする犯罪集団は「人を殺してもとがめられずにいるも同然」と語気を強めた。

マクロン仏大統領は、英国は国内世論を有利に導くためにこの問題を政治化すべきではないと指摘。ダルマナン仏内相は、英国も問題解決に向け役割を果たすべきだと訴えた。

ダルマナン氏によると、救助された不法移民のうち2人は危篤状態にある。

フランス警察はこの事故に関与した疑いがあるあっせん業者4人を逮捕した。ダルマナン氏は、移民の国籍や身元は不明だと述べた。

マクロン大統領は、欧州連合(EU)の対外国境管理協力機関(FRONTEX)について、域内外の境界線を守るために一段の資金手当てが必要との見方を示した。そうすることで、フランス北部の沿岸に移民が集まる状況を避けられるとした。「英仏海峡が墓場と化すことをフランスは容認しない」と強調した。

英国はここ数週間、仏当局は多数の移民が同国の海岸から出発するのを黙って見過ごしていると批判していた。フランス側はこのような見方を否定している。

ジョンソン氏は声明で、不法移民による海峡横断を阻止する取り組みの強化でマクロン大統領と一致したと表明した。

*フランス政府の修正発表に合わせて死者数を変更しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円債2300億円積み増しへ、金利上昇で年度5550

ビジネス

英、「影の船団」対策でロ石油大手2社に制裁 中印企

ビジネス

TSMC、通期見通し上方修正 第3四半期39%増益

ビジネス

8月第3次産業活動指数は2カ月ぶり低下、基調判断据
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中