最新記事

ミステリー

こつ然と現れた墓石...奇怪な事件続く米郊外の町 「まるでスティーヴン・キング」

2021年10月11日(月)16時00分
青葉やまと

劣化の具合から判断するに、2つは別々の年代に造られたものとみられる。このことから、古くなった墓石を新しいものに造り替えた可能性がありそうだ。しかし、なぜ子孫の知らないところでそれが行われたのか、そしてなぜ木々生い茂る田舎道に古い墓石が放置されたのかについては、依然として謎に包まれている。

ウエストブルック警察のパトロール隊員は、ボストン郊外から地域ニュースを発信するNBC系列のニューイングランド・ケーブルニュースに対し、「奇怪な事件です」と率直な印象を語った。

小さな町で続く奇妙な事件

ウェストブルックは人口1万8000人ほどの小さな町だが、奇妙な出来事が多く起きていることで話題を集めている。過去5年間で4回ほど目立った現象に見舞われ、10メートル級の大蛇の痕跡や巨大な氷の円盤の出現などで話題を振りまいた。

Expert: Snakeskin found in Westbrook is from anaconda


Giant spinning ice disk forms in Maine river


ボストン・グローブ紙は、「奇妙で、そして説明しがたい」出来事で注目されている町だと述べる。記事は「市境の標識には『メイン州ウェストブルック』と記されている。しかし、こうもなってくると、スティーヴン・キングの身の毛もよだつ物語に登場するメイン州の架空の舞台、キャッスルロックとも呼べるかもしれない」とし、まるでモダン・ホラー小説のようにも思える出来事だと指摘する。

ウェストブルック警察のシーン・ラリー署長は同紙に対し、「長年奇怪な出来事がここウェストブルックで起きていることは間違いない」「(この地は)メーン州におけるバミューダ・トライアングルのようなものです」と語った。

大蛇伝説から動く木々まで

一連の出来事を振り返ると、2016年には木立のあいだから長さ10メートルに及ぶ大蛇の抜け殻が発見され、警察が付近の住民に対して警戒を呼びかけている。ヘビ本体は発見されなかったものの、幻の大蛇、あるいはネッシーならぬウェッシーとして注目の的となり、未確認動物ハンターたちが町に押し寄せることとなった。

2019年の冬には市の中心部を貫くプレサンプスコット川の中心部が凍結し、波状の紋様を浮かべた巨大な円盤が川の中心部に出現した。そのスケールは、街区がまるごと1つ乗ってしまいそうなほどだ。この現象はアイスディスクと呼ばれ、川の一部の渦状の流れに乗って氷盤が回転しながら成長することで形成される。科学的に説明がつく現象ではあるが、ふだん親しんでいる河川に突然出現した謎の巨大サークルに住民は怯え、なかには世界の終末が近づいていると考える人々もいた。

昨年には9月のある朝方に川辺を通った通行人が、多くの木々が幹ごとゆっくりと動くのを目撃している。これは木々の生える斜面が崩落に向かっていたためであり、のちに大規模な地滑りに発展した。土砂で川が堰き止められたことにより鉄砲水の危険性が高まり、非常事態が宣言されている。地下の柔らかい粘土層が地滑りを招いた可能性があるが、はっきりとした原因はわかっていない。

まるで呪われたキャッスルロックの街のような現象が続くウェストブルックの町に、誇りをもつ住民も少なくない。「大きな未来をもつささやかな町」として、次々と話題を振りまく地元に愛着を深めているのだという。次はどのような事象で話題を生むのか想像もつかないが、この先もウェストブルック発の奇妙なニュースは続くのかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル人人質の遺体返還、時間かかる可能性=ハマ

ビジネス

米財政赤字、25年度は2%減の1.775兆ドル 純

ワールド

ガザ持続的和平で地域は恩恵、「平和の配当」に=IM

ビジネス

米銀行株が急落、自動車関連2社の経営破綻で不安高ま
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 10
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中