最新記事

ミステリー

こつ然と現れた墓石...奇怪な事件続く米郊外の町 「まるでスティーヴン・キング」

2021年10月11日(月)16時00分
青葉やまと

アメリカ・メイン州の田舎道の路上に19世紀の墓石がこつ然と現れた...... CITY OF WESTBROOK POLICE-Facebook

<森を抜ける路に、19世紀の墓石が出現。町の不可思議な現象は、これが初めてではなかった>

アメリカ北東部・メイン州の郊外のウェストブルックの町で、数年にわたり奇妙な現象が続いている。スティーヴン・キング小説に登場する呪われた街「キャッスルロック」のようだと話題だ。

直近では10月3日の午前9時ごろ、田舎道の路上に墓石がこつ然と現れた。墓石は19世紀のもので、「マリー夫人、デイヴィッド・プラットの妻。1840年1月21日没。享年59」と刻まれている。墓石の下部は土にまみれており、実際に墓地で使用されていたことを物語る。

出現した現場はポートランドの町の郊外を走るメソジスト・ロードで、生い茂る木立とまばらな住宅のあいだを抜ける片側1車線のゆるやかな山道だ。偶然付近を通りかかったドライバーが発見し、現物を回収して地元ウェストブルック警察に持ち込んだ。

ネット探偵たちの推理合戦

ウェストブルック警察はFacebookへの投稿を通じて、情報提供を呼びかけている。「明らかに本物のこの墓石が今朝、メソジスト・ロード上に置かれており、署に届けられました」と説明し、墓石現物の写真を添えて投稿した。

呼びかけに対し、80件を超えるリプライが寄せられている。近くの墓地で同じ墓石を見かけたとする情報や、現在でもメソジスト・ロード沿いに住むプラット姓の一家があり、その祖先のものなのではないかなどの議論が交わされている。

土地測量士を名乗るあるユーザーは、車で1時間あまり離れたエッジクームの町で、46年ほど前にまったく同じ墓石を見たと語っている。隣の土地を測量していたところ、小高い丘にある森の木に寄りかかるように安置されているのを見ており、静かな場所で安らかに眠れているだろうと感じたことから記憶に残ったという。ただ、46年前に見た特定の墓石の記憶について正確さには疑念が残る。

あるユーザーは墓地検索サイトを使い、同地方ヤーマスの町にあるオールド・バプティスト墓地
に同名の故人が埋葬されていることを突き止めた。墓に刻まれた情報から、デイヴィッド・プラット氏の妻であったことや没年月日なども一致する。しかし、検索サイトに掲載された写真は、今回拾得されたものとはまったく別の墓石であるように見える。

過去には墓地が荒らされ墓石が大量に破壊される事件が起きており、今回も墓場荒らしだとすれば故人に対する冒瀆である、と憤る声も多い。

同じ故人に2つの墓石

警察の発表からまもなくして、メアリー・プラット氏の子孫だという人物が名乗りを上げた。子孫らは警察に対し、検索サイトの情報通り、元々オールド・バプティスト墓地に設置されていたものである可能性が高いと話している。

ウェストブルック警察はこの線を念頭に、墓地を管轄するヤーマス警察と共同で調査を進める方針だ。しかし、墓地が古いことから埋葬記録がはっきりとせず、地元歴史協会などの助けを得て解明にあたるという。この線が正しいとすれば、墓地検索サイトで確認できる現存のものとあわせ、マリー夫人名義の墓石は2つ存在することになる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏の昨年資産報告書、暗号資産などで6億ドル

ワールド

イラン、イスラエルとの停戦交渉拒否 仲介国に表明=

ワールド

G7、中東情勢が最重要議題に 緊張緩和求める共同声

ワールド

トランプ氏、イスラエルのハメネイ師殺害計画を却下=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中