最新記事

感染症

危険な熱帯感染症で4歳の少女が脳にダメージ、感染経路は自宅の水槽か

Young Girl Who Suffered Brain Damage From Rare Infection May Have Caught It From Fish Tank

2021年10月8日(金)17時20分
サマンサ・ベルリン
水槽と子供

Yuliya Apanasenka -iStock

<感染すると治療が困難で死亡率も高いことで知られる「類鼻疽」に感染し、脳にダメージを負ったテキサス州の少女>

米テキサス州に暮らす4歳の女の子が5月に感染した珍しい熱帯病について、米疾病予防管理センター(CDC)はこのほど、自宅で飼育する魚用の水槽が汚染されており、そこから感染した可能性があると報告した。4歳のライラ・ベイカーは類鼻疽(るいびそ)という珍しい細菌感染症と診断されているが、この病気はホイットモア病とも呼ばれ、類鼻疽菌という細菌によって引き起こされる。

CDCによれば、類鼻疽は熱帯気候でよく見られる病気であり、オーストラリア北部や東南アジアに広がっているという。類鼻疽菌は通常、汚染された水や土壌に存在し、直接接触によって人や動物に感染する。通常、熱帯と亜熱帯の環境のみで自然発生するため、最近になって国外旅行をしていない人の感染が続いたことに、医師たちは困惑している。

2021年だけで、CDCはテキサス州、カンザス州、ミネソタ州の3症例について調査している。3人の患者はいずれも米国外に渡航しておらず、どのように類鼻疽菌と直接接触したかは不明だった。CDCは8月、そのうち2人が死亡したと報告した。

しかし、CDCと数州の保健当局が共同で発表した報告書では、2019年にメリーランド州で発生した症例が、患者女性の自宅にあった淡水水槽と関連づけられた。

類鼻疽に感染したこの女性は国外渡航歴がなかったが、自宅から採取したサンプルを検査したところ、3つのサンプルが陽性となり、いずれも輸入熱帯魚が入った淡水水槽から採取されたものだった。報告書によれば、これらのサンプルは「患者の臨床分離株と遺伝的に一致した」という。

魚は2月に死んでしまっていたが

保健当局は、すでにメリーランド州の女性が輸入魚を購入したペットショップの調査を開始。「これらの業者は、全米のペットショップに淡水動物や水生植物を卸している可能性があるため、サプライチェーンに入った類鼻疽菌の出どころを特定することは、公衆衛生にとって不可欠だ」と報告書には記されている。

なお、ベイカーのおばはUSAトゥデイに対し、ベイカーが飼っていた魚は2月に死んでしまったが、調査担当者は水槽の中身を調べることに関心を示したと語っている。報告書は医療関係者に対し、ベイカーとよく似た症状が見られる患者が、ベイカーと同様に水槽に触れたことがある場合は、類鼻疽の可能性を考慮するよう呼び掛けている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

IEA、石油備蓄4億バレル放出で合意 過去最大規模

ワールド

イラン、W杯「参加できない」 最高指導者殺害で=ス

ワールド

トランプ氏、イランの標的「ほぼ残らず」 戦闘近く終

ビジネス

米CPI、2月前年比+2.4%上昇 3月のインフレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 9
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 7
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中