最新記事

感染症

悪臭で飛行機を降ろされた男性、体組織が壊死する感染症だった

2018年6月28日(木)18時30分
デービッド・ブレナン

本人や家族にとっても乗り合わせた乗客・乗員にとっても悲惨な体験だった Tuayai-iStock.

<他の乗客が吐いたり気絶したりするほどの臭いで飛行機は緊急着陸。人々は不潔だと思ったが、男性は恐ろしい病魔に侵されていた>

5月に国際線の機内で体から強烈な異臭を放ち、緊急着陸を余儀なくさせた男性乗客が、壊死性感染症が原因で6月25日に死亡した。オランダ紙テレグラフが報じた。

この不運な乗客はロシアのロックギタリスト、アンドレイ・スチリン(58)だと判明。彼は5月29日、スペイン領カナリア諸島でオランダの格安航空会社トランサヴィアのアムステルダム行きに搭乗。耐えがたい悪臭を放ち、周りの乗客が嘔吐したり失神する事態になったため、ポルトガルのファロ空港で緊急着陸。待機していた救急車に運ばれた。

この飛行機に乗っていた乗客の一人はオランダのテレグラフ紙に、緊急着陸に至るまでの機内の混乱ぶりを語った。「彼が通路に足を踏み入れたとたん、乗客は叫び始めた。皆、バッグをのぞきこんで鼻をふさぐためのハンカチを必死で探した」

乗務員は香水をふりまいたり、スチリンをトイレに座らせてドアを閉めたりしたが、何の役にも立たなかったという。

「よくある感染症」と医者に言われ

乗客たちは「何週間も体を洗っていない人のような臭いだった」と感じたというが、悪臭の原因は彼が不潔だったせいではなく、皮膚や筋肉などの体組織が細菌に感染し、組織が壊死して腐敗臭を放つ病気だった。ポルトガルで降ろされた後、彼はフェイスブックに自嘲気味の投稿をした。「この悲劇的かつ漫画チックな一連の騒ぎではっきりしたのは、俺が感染症だったということ。それも、人を凄まじく臭くする病気だった」

スチリンは病院に搬送されたが、病状が悪化し昏睡状態になった。感染症を食い止めるための手術を繰り返したが、6月25日に死亡した。

man.jpg
スチリンのフェイスブックページ

妻のリディアは治療中、夫のフェイスブックを通じて友人に逐一状況を知らせた。スチリンは搭乗前、滞在していたスペイン領カナリア諸島のリゾート地、グランカナリア島で医師の診察を受けたが、「ビーチでよくなる普通の感染症」と診断され、抗生物質を渡されて終わったという。ロシアの保険会社には治療費の支払いを拒否され、フェイスブックで友人に医療費の援助を呼びかけるしかなかったという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:イラン攻撃に踏み切ったトランプ氏、外交政

ワールド

イラン情勢、木原官房長官「石油需給に直ちに影響との

ワールド

茂木外相、「核兵器開発は決して許されない」 米攻撃

ワールド

米・イスラエルがイランに大規模攻撃、体制転換視野に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 3
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 4
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 5
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 6
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 7
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 8
    トランプがイランを攻撃する日
  • 9
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 10
    インフレ直撃で貯蓄が消える...アメリカ人の54%が「…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中