最新記事

中国社会

中国、オンラインゲームを1週間で3時間以内の規制導入 背景と効果は

2021年9月2日(木)11時45分
北京のインターネットカフェでオンラインゲームをする人

中国当局は、18歳未満を対象にオンラインゲーム利用を1週間で計3時間に制限する新たなルールを導入した。ゲーム中毒問題の対策として必要な措置だとしている。写真は北京のインターネットカフェでオンラインゲームをする人。31日撮影(2021年 ロイター/Florence Lo)

中国当局は30日、18歳未満を対象にオンラインゲーム利用を1週間で計3時間に制限する新たなルールを導入した。ゲーム中毒問題の対策として必要な措置だとしている。

新ルールはオンラインゲーム業界の実行義務として打ち出され、この法律自体が違反した個人を処罰するわけではない。 

ゲーム中毒を懸念する理由

世界最大のオンラインゲーム市場となっている中国では、当局が何年も前から若者のゲームやインターネットへの依存症に懸念を持ち、いわゆる「ゲーム障害」の子どもたちに治療と軍事訓練を組み合わせて行う医療施設を設置している。

2018年には、若者の間で近視が増えていることも心配な要素の1つに挙げられた。

新作オンラインゲームの販売承認権限を有する国家新聞出版署(NPPA)は30日、新ルールについて、ゲームが子どもたちの身体と精神の健康に悪影響を及ぼしているとの心配が広がっていることに対応したと説明した。

国営メディアによると、中国の未成年の約62.5%は頻繁にオンラインゲームで遊び、平日1日当たり2時間以上モバイルゲームをする未成年も13.2%に達している。

中国当局はここ数週間、子どもたちの健康と福祉を守る必要性を理由に、私立の塾産業や芸能人をもてはやす風潮も取り締まりつつある。

これまでの対応

17年にはテンセント(騰訊控股)が、主力モバイルゲーム「王者栄耀」の一部若者利用者に対して、プレー時間を制限すると表明した。親や教師から、子どもが中毒になっていると苦情が出たためだ。

その1年後、政府は近視の増加が懸念されるとの理由で、子どものゲーム時間を規制する措置を検討しているとした上で、新作ゲームの承認を9カ月停止。

19年に入って未成年が平日にゲームができる時間を1時間半未満、週末を同3時間にするとともに、午後10時から午前8時まで全面禁止とすることを定めた法律を制定した。

未成年が毎月オンラインゲームの有料アイテムに使える金額も、年齢に応じて28ドルから57ドルまでの上限が設けられた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英建設業PMI、11月は39.4 20年5月以来の

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中