最新記事

メディア

ポーランド下院、政権批判の米ディスカバリー系TV局締め出す規制案を可決

2021年8月12日(木)18時12分
ポーランド議会

ポーランド下院は11日、非欧州企業によるポーランド放送業者の所有禁止を強化する法案を可決した。写真は、ポーランド議会の内部。2020年9月17日に撮影。(2021年 ロイター/Slawomir Kaminski/Agencja Gazeta via REUTERS )

ポーランド下院は11日、非欧州企業によるポーランド放送業者の所有禁止を強化する法案を可決した。野党側は、法案の狙いが米系によるポーランド政府に批判的なニュース局の閉鎖にあると非難。ブリンケン米国務長官も可決を深く憂慮すると表明した。法案は上院に回る。

ポーランドではテレビ局TVN24が9月26日に現行の認可期限を迎える。親会社のTVNは、米メディアグループのディスカバリーがオランダに設立した会社を通じて所有。現在のポーランドの法律はメディア企業の株式の49%超を非欧州企業が持つのを禁じている。今回の法案はこうした迂回策を封じる内容。

米政府は既に、TVN24の認可が更新されなければポーランドへの将来の投資を損なう可能性があると警告していた。

可決を受けてブリンケン長官は声明で、標的になっているのはポーランドで最も視聴される独立系のニュース局であり、同国に対する米国からの最大規模の投資の1つだと表明。「ポーランドへの米国の大型商業投資は双方の繁栄につながり、双方の集団的安全保障も強めるものだ」とも指摘した。

最大野党「市民プラットフォーム」の議員はツイッターで「投票は自由への攻撃であり、政府から独立したメディアへの攻撃だ」と批判。ディスカバリーも「言論の自由という民主主義の中核的な原則への攻撃だ」とし、メディアの独立性を損ない、TVNとディスカバリーへの直接的な差別行為だとする声明を発表した。

ポーランドの政府報道官は採決について、他の欧州連合(EU)諸国と同様の規定を導入しようとしているだけだとし、「議会が適切と見なす方法で資本の問題を規制する権利はわれわれにもある」と主張した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ベネズエラ石油「封鎖」に当面注力 地上攻撃の可

ワールド

英仏日など、イスラエル非難の共同声明 新規入植地計

ビジネス

ロ、エクソンの「サハリン1」権益売却期限を1年延長

ビジネス

NY外為市場=円が小幅上昇、介入に警戒感
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中