最新記事

中東

アフガニスタン、タリバン指導者アクンザダ師が実権 評議会設置=幹部

2021年8月19日(木)09時29分
アフガニスタンの首都カブールの検問所のタリバン兵士

アフガニスタンの全権を掌握したイスラム主義組織タリバンの幹部がロイターのインタビューに応じ、アフガニスタンは評議会により統治され、タリバンの最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ師が実権を握る公算が大きいと述べた。写真は8月17日、アフガニスタンの首都カブールの検問所のタリバン兵士(2021年 ロイター)

アフガニスタンの全権を掌握したイスラム主義組織タリバンの幹部がロイターのインタビューに応じ、アフガニスタンは評議会により統治され、タリバンの最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ師が実権を握る公算が大きいと述べた。

インタビューに応じたのはタリバンのワヒードラ・ハシミ氏。ハシミ氏は、評議会議長が大統領のような役割を果たし、アクンザダ師は評議会議長の上に立つ公算があると英語で述べた。

その上で、アクンザダ師の副官がいわゆる「大統領」の役割を果たす可能性があると語った。アクンザダ師にはMawlavi Yaqoob氏、Sirajuddin Haqqani氏、Abdul Ghani Baradar氏の3人の副官がいる。

タリバンがアフガニスタンをどのように統治するかについて、多くの点で最終決定されていないとしながらも、アフガニスタンが民主国家になることはないと言明。「われわれの国には民主主義の土台が全くないため、民主的なシステムは構築されない。どのような政治システムをアフガニスタンに適用するか、われわれが話し合うことはない。イスラム法(シャリーア)以外の統治はない」と述べた。

ハシミ氏によると、タリバン幹部は週内に統治に関する会合を開く。

このほか、タリバンはアフガニスタン軍の元パイロットや兵士も参画する新たな軍隊を設置すると表明。アフガニスタン政府のために戦った兵士の多くはトルコのほか、ドイツや英国で訓練を受けているとし、タリバンは軍に戻るよう呼び掛けると述べた。

ただ、過去20年にわたりタリバン勢力により数千人のアフガニスタン兵士が殺害されており、こうした計画が成功するかは不明。ハシミ氏が描いた構想は、タリバンがアフガニスタンを制圧していた1996─2001年の権力構造に酷似している。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中