最新記事

ヘルス

「一度壊れると元には戻らない」 コロナに打ち勝つ免疫力にも関わる『最重要臓器』とは

2021年8月1日(日)09時12分
小林弘幸(順天堂大学医学部教授) *PRESIDENT Onlineからの転載
肺の疾患のイメージ

Halfpoint - iStockphoto

コロナ禍を乗り切るには、体のどこを鍛えればいいのか。『最高の体調を引き出す 超肺活』(アスコム)を出した順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「筋トレよりも『肺トレ』をしてほしい。肺は、心臓や全身の血管の健康に深く関わっている。コロナ禍を乗り切るためにも肺を鍛えたほうがいい」という──。

新型コロナが教えてくれた「肺」の大切さ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、ECMOと呼ばれる特殊な医療機械が、広く一般の方々にも知られるようになりました。

エクモは、重症患者を救う「最後の切り札」として報じられていますが、実際にどのような役割を果たしているのかまで知っている方は、少ないのではないでしょうか。

エクモの役割とは、弱ってしまったある臓器をエクモが体外で人工的に代替し、その臓器を一時的に休ませて回復や治療の時間を稼ぐことにあります。

ある臓器とは、普段私たちがないがしろにしてきた臓器・肺です。

私が外科研修医時代、エクモの勉強でもっとも驚いたのが、含まれているガスが、二酸化炭素か酸素かによって変わる「血液の色」についてでした。

二酸化炭素を含んだ濁った血液が、人工肺を通過すると鮮やかで健康的な色に生まれ変わるさまを見て、「肺」がいかに健康状態に大きな影響を与えているのかを思い知りました。

そして、知識としてはもちろん知っていましたが、「酸素は血液に乗って全身に運ばれていく」ということを、エクモを目の当たりにして痛感したのです。

そんな大切な臓器・肺がいま、病気にかからずとも悲鳴を上げていることを知っていますでしょうか?

今回は拙著『最高の体調を引き出す 超肺活』より、弱った肺が健康に与える重大な影響から、肺の機能を取り戻す方法までをお伝えします。

肺は20代から衰えはじめている

呼吸をするとき、空気は鼻や口から取り込まれ、喉(咽頭)と、声帯がある喉頭こうとうを通過し、気管へと入っていきます。

気管は左右に枝分かれして気管支となり、それぞれ左右の肺につながっていきます。枝分かれした気管支はさらに枝分かれし、最終的には直径0.5ミリほどの太さになります。気管全体を見ると、木を逆さまにしたような形をしているため、「気管支樹」と呼ばれています。

その気管支の先端にあるのが「肺胞」と呼ばれる、わずか0.1ミリ程度の部位です。肺の中におよそ3億から6億個あると言われています。

この肺胞が非常に重要です。

肺胞には毛細血管が網の目のように取り巻いています。全身を巡った血液は、心臓を経由して、肺胞までたどり着き二酸化炭素を吐き出します。それと同時に、肺胞のなかの酸素が血液の中に取り込まれます。

これが私たちが無意識にしている呼吸のメカニズムです。このようにして私たちは、酸素を血液に取り込み、腸から吸収した栄養と結合させ、生命活動に必要なエネルギーを生み出しているのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベセント米財務長官、インドに対する追加関税撤廃の可

ワールド

米、嵐で16万戸超が停電・数千便が欠航 異常な低温

ワールド

市場の投機的、異常な動きには打つべき手を打っていく

ワールド

米ミネアポリスで連邦捜査官が市民射殺 移民取り締ま
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中