最新記事

トランプ

裏帳簿で脱税の証拠を掴まれたトランプ企業、ケチすぎる態度が命取りに

2021年7月6日(火)17時21分
ジェレミー・スタール
トランプとアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者

トランプと、今回起訴されたワイセルバーグ(右) CARLO ALLEGRIーREUTERS

<トランプ・オーガニゼーションの最高財務責任者への支払いを徹底的に管理した結果、脱税の明らかな証拠を残すことに>

トランプ前大統領と一族が運営する非上場のファミリー企業トランプ・オーガニゼーションとアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者(CFO)が脱税など15件の容疑で起訴された。ワイセルバーグは、トランプが大統領を務めていた間、長男のドニー(トランプJr.)、次男のエリックと一緒にトランプ・オーガニゼーションを率いていた人物だ。

起訴したのは、ニューヨーク州のマンハッタン地区検察。同地区検察のサイラス・バンス検事は、トランプの事業活動を取り巻く疑惑について捜査を続けてきた。今回の起訴は、ビジネスにおける右腕的な存在だったワイセルバーグからトランプに不利な証言を引き出すことが狙いだとも言われている。

この起訴自体は、しばらく前から予想されていた。しかしふたを開けてみると、起訴内容には興味深い情報が含まれていた。トランプ・オーガニゼーションは長期にわたり、ワイセルバーグに支払っている報酬を実際よりも少なく見せることで脱税を助け、しかもその詳細を裏帳簿に記載していたというのだ。

検察によれば、トランプ・オーガニゼーションは、ワイセルバーグに年間94万ドルの固定額で報酬を支払っていた。問題は、その金額をそのまま口座に振り込んでいなかったことだ。同社は税務当局に対しても、本来の支払額を申告していなかった。

孫の学費、家賃、ベンツのリース料

トランプ・オーガニゼーションは報酬の一部を「諸手当」の形で支給し、課税対象所得として申告していなかったのだ。その総額は170万ドルに上るという。具体的には、ワイセルバーグの孫の私立学校の学費、夫婦が暮らすマンハッタンの高級マンションの賃料、メルセデス・ベンツ2台のリース料などを会社が負担していたとされる。

これは、単なる経理処理の手違いではない。トランプ・オーガニゼーションは裏帳簿を作成し、ワイセルバーグに支払った表向きの報酬と諸手当を全て詳細に記録し、合計の支払額が94万ドルになるように留意していたとされている。つまり、この裏帳簿は、「私たちはこのような手口で脱税を実行しました」と白状しているに等しい。

今回、トランプ自身は起訴されていない。しかし起訴状によれば、ワイセルバーグへの諸手当支払いのために発行された小切手の一部には、トランプの署名があるという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米PCE価格、7月前年比+2.6%で変わらず コア

ビジネス

独CPI、8月速報は前年比+2.1%に加速 予想上

ワールド

タイのペートンタン首相失職、倫理規定に違反 憲法裁

ビジネス

中国大手行が上期決算発表、利ざや縮小に苦戦 景気低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中