最新記事

リモートワーク

コロナ収束の近未来に、確実に勃発する「リモートvs出社」バトル

WE'RE HEADED FOR A REAL CLASH

2021年6月24日(木)11時41分
ポール・キーガン(ジャーナリスト)

210629p42_re03.jpg

コロナ下で閑散としたオフィス。その後も在宅勤務へのニーズは高い JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

問題は従業員がいつオフィスに呼び戻されるかだけではない。会社がどのような勤務形態を採用するかも重要なポイントだ。オフィスへの通勤を毎日求めるのか、リモートワークの併用を認めるのか──。

大企業の中には、全員フルタイムの出社勤務に戻す方針を明らかにしているところもある。例えばアマゾンは秋までにリモートワークを終わらせ、「わが社の基本として、オフィス中心型のカルチャーに戻る」としている。

ゴールドマン・サックスも同様で、デービッド・サロモンCEOは2月、リモート勤務は「ニューノーマル(新しい日常)ではない」と発言。「できるだけ早く修正していくべき例外的な状況だ」

一方で、もっと柔軟な対応をしている企業もあり、IT(情報技術)業界では特にその傾向が強い。マイクロソフトやフェイスブック、ツイッターでは、恒久的なリモート勤務も選択肢として認められている。

セールスフォース・ドットコムは従業員アンケートの結果を受け、週1~3日だけオフィスに出て、残りは在宅という勤務形態を多くの社員に認めることにした。自宅が職場から遠い場合はリモートワークをずっと続けることも可能だ。

「仕事に集中できる作業空間は今やオフィス内のデスクに限ったものではない」と、同社は公式ブログで述べている。

擦れ違う企業と従業員の思惑

だがコンサルティング大手プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)の調査では、労働者の半数以上(55%)が少なくとも週3日はリモートワークにしたいと答えたのに対し、企業幹部の考えはだいぶ異なるようだ。相当に長い時間のリモートワークを認める用意があると答えたのは、4人に1人にすぎなかった。

「企業としては、社員が非効率な働き方をするリスクを減らすため常に目を光らせていたい」と語るのは、カーネギー・メロン大学経営大学院のアニータ・ウィリアムズ・ウーリー教授だ。「物理的に同じ場所にいれば共同作業がしやすくなり、技術革新も起こりやすくなるという考え方が関係していることもある」

各種調査によれば、労働者の大半はリモートワークのほうが生産性は上がると考えている。アラバマ大学バーミングハム校看護学部で働くシャンテイ・ウィリアムズ(34)もその1人だ。

コロナ禍でリモートワークになってからも、通常業務はもちろん、公衆衛生上の緊急事態がもたらした新しい仕事もきちんとこなしてきた自負がある。だが職場からは、昨年10月以降は週2日、この春からは週5日フルタイムの出勤が求められるようになった。通勤には車で片道1時間かかる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中