最新記事

パンデミック

EU、域外からの渡航制限緩和へ ワクチン接種者を許可

2021年5月20日(木)10時03分

欧州連合(EU)が夏の観光シーズンを前に、域外からの渡航制限を緩和することで合意したことが、複数の関係筋の話で分かった。写真は2019年10月、ブリュッセルで撮影(2021年 ロイター/Yves Herman)

欧州連合(EU)が夏の観光シーズンを前に、域外からの渡航制限を緩和することで合意したことが、複数の関係筋の話で分かった。これにより英国から全ての場合の渡航が可能になるほか、米国からは新型コロナウイルスワクチンの接種を受けていれば渡航できる見通し。

EUの執行機関である欧州委員会は今月3日、特定の国・地域に「安全」判定を下し、完全にワクチン接種を受けた人の域内への渡航を認めるよう提案。関係筋によると、EU加盟27カ国の外交官がこれを承認した。これを受け、週内、もしくは来週初旬に新たなリストが策定される見通し。

EUは現在、過去14日間の新規感染者数が10万人当たり25人以下であることを渡航許可の主な要件に設定している。欧州委はこれを100人以下に緩和することを提案。EU外交官は75人以下とすることで合意した。

ワクチン接種の要件については、EU当局が承認済みのワクチンに限定。世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに含まれているワクチンを受けた人への対応については、今後検討する。接種は渡航の少なくとも14日前までに済ませる必要がある。子どもについては、両親がワクチン接種を受けていれば同行が可能。加盟各国は新型コロナ検査の陰性結果の提出や自主隔離を義務付けることもできるとした。

このほか、変異株の感染拡大リスクを限定するために、必須の渡航以外は禁止する非常措置が一時的に導入される可能性があり、インドに対するこうした措置の導入が提案された。

欧州疾病予防管理センター(ECDC)のデータに基づくと、英国を含む複数の国が新たな基準を満たす見通し。ただEU外交官は、インドで検出された変異株が英国で広がっていることに留意する必要があると述べた。

米国は新たな基準は満たさないが、ワクチン接種を受けたことが証明できればEU域内に渡航できる。

現在の要件の下で観光目的でEU域内への渡航が許可されているのはオーストラリア、イスラエル、シンガポールを含む7カ国のみ。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強

ワールド

イランとパキスタン、国連安保理にイスラエルに対する

ワールド

ロシア、国防次官を収賄容疑で拘束 ショイグ国防相の

ワールド

インドネシア中銀、予想外の利上げ 通貨支援へ「先を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中