最新記事

教育

日本の高校生はアメリカの3倍、授業中に居眠りしている

2021年5月19日(水)11時40分
舞田敏彦(教育社会学者)
授業中に居眠りする生徒

日本の高校生は部活の朝練や深夜にまで及ぶ塾通いで疲れ切っているのか PeopleImages/iStock.

<体質が夜型になりやすい青年期の生徒に、部活の朝練や朝の補習で早寝早起きを強いるのは好ましくない、という指摘も>

国際化が進んでいるが、日本に来た留学生が驚くのは、学生が教室で居眠りをしていることだ。筆者も大学で10年ほど教えたが、学生の居眠りにはよく遭遇した。だがとがめることはしなかった。授業に興味が持てないのだろう、バイトで疲れているのだろう、授業妨害ではない――。こう解釈していた。日本の大学には、こういう(やさしい)教員が多いかと思う。

しかし欧米はそうではなく、授業中に居眠りなどしたら教室から追い出される。日本では職場で居眠りをする人もいるが、「母国だったらクビになりかねない」と国外の人の目には奇異に映るようだ。

2017年に国立青少年教育振興機構が実施した高校生の国際比較調査で、授業中に居眠りをする頻度を尋ねている。日本とアメリカの生徒の回答分布を比べると<図1>のようになる。

data210519-chart01.png

同じ高校生だが、回答はかなり違っている。「よくする」と「時々する」の割合は、日本では63.1%だがアメリカでは17.2%だ。日本の生徒の居眠り率は、アメリカの3倍を超えている。

日本の生徒は、部活の朝練や深夜まで及ぶ塾通い等で疲れ切っているのか。生徒の生活や教師の厳しさの違いで片付けるのは簡単だが、もっと大きな国民性に照らすと、日本では勉強・仕事をする時と休む時、「オン・オフ」の境界が曖昧なことも要因だろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

独経済回復、来年は低調なスタートに=連銀

ビジネス

ニデック、永守氏が19日付で代表取締役を辞任 名誉

ビジネス

ドル157円台へ上昇、1カ月ぶり高値 円が広範にじ

ビジネス

仏ルノー、S&Pが格上げ 投資適格級に復帰
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中