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【フェミニズムの入門書8選】これから勉強する方におすすめ本を紹介

2021年4月21日(水)14時24分
リベラルアーツガイド

(8)シモーヌ編集部『シモーヌ Vol3』

book202104211419_13.jpgシモーヌ(Les Simones)VOL.3
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「雑誌感覚で読めるフェミニズム入門ブック」というキャッチコピーで2019年から発行。評伝、グラビア、マンガ、エッセイやアートなど多種多様な表現が満載で、まさに雑誌のように楽しむことができます。

第3号は、世界的な再評価がなされているオランプ・ド・グージュを特集。

「女よ、目覚めよ。理性の鐘が世界中で鳴り響いている。あなたが持つ権利を認識せよ」

人権宣言をもじった『女性および女性市民の権利宣言』(1791)で高らかに宣言したグージュは、革命前夜、植民地における奴隷制をあつかった戯曲で社会に問題提起をしていた劇作家でもありました。

230年も前に、「人=白人男性」という近代が前提とした人間像が、黒人や女性などを差別し搾取し、周縁に押しやることでようやく成り立つものであることを糾弾したのです。

人種や性に関わらず、すべての人の自由と平等を訴えつづけたクージュは、理性を欠いたロベスピエールらの恐怖政治も真正面から告発し、革命期、マリー=アントワネットに次いで二人目の女性として断頭台に消えることになります。45歳でした。

本書には法学や演劇史の専門家らによる論考のほか、生前、アントワネットに献呈した『女性および女性市民の権利宣言』の全文和訳も収録。ページを繰れば18世紀のひとりの女性の命がけの声が、遠い現代の日本に生きる私たちの胸にもダイレクトに響きわたります。

参考

『シモーヌ』のほか、フェミニズムを雑誌のように読める本の刊行が相次いでいます。

etc.books『エトセトラ』

2019年にフェミニズム専門の出版社が創刊したフェミニズムに特化した雑誌。エロ本、身体、バックラッシュ等、テーマと責任編集者を毎回変える形で年2回発行しています。

→詳しくはこちら

・井上彼方編『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える』

双書。「からだ」という観点から、セックスワーク、トランスジェンダー、ルッキズム、アスリート、写真表現などについてインタビューや論考などを交えながら考える等身大の一冊。


book202104211419_14.jpg社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本 (月歩双書02)
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まとめ

あなたが関心を持てる本はありましたか?

ここで紹介した本は、フェミニズムの必読書の一部でしかありません。これらの本をきっかけに、あなた自身でどんどん本を見つけて読んでみてください。

[執筆者]九州大学大学院比較社会文化研究院・特別研究者 里村和歌子

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