最新記事

クーデター

ミャンマー、デモ制圧続き1700人以上拘束 国連当局者は厳しい制裁呼び掛け

2021年3月5日(金)12時35分

軍事クーデターに対する抗議デモが続くミャンマーでは、治安部隊がデモ隊を強制排除するため催涙ガスを使用し、銃を発砲する場面もあった。写真は同日、ヤンゴンでバリケードの後ろに隠れるデモ参加者ら(2021年 ロイター/KHIT THIT MEDIA)

軍事クーデターに対する抗議デモが続くミャンマーでは4日、治安部隊がデモ隊を強制排除するため催涙ガスを使用し、銃を発砲する場面もあった。国連当局者は国軍による強硬なデモ制圧を非難し、同国への厳しい制裁を呼び掛けた。

バチェレ国連人権高等弁務官は、治安部隊に対し「平和的なデモ参加者に対する残忍な弾圧」をやめるよう要求。これまでにジャーナリスト29人を含む1700人以上が拘束されたと指摘した。

ミャンマーの人権状況を担当する国連のトム・アンドリュース特別報告者は国連安全保障理事会に対し、国際的な武器禁輸や軍事政権に対する的を絞った経済制裁を科すよう求めた。

具体的には、軍が支配権を掌握し、その最大の収入源となっているミャンマー石油ガス公社(MOGE)に制裁を科すべきだとした。

安保理は5日に会合を開き、ミャンマー情勢を協議する。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、ミャンマー軍は2月1日に全権を掌握した数日後、米ニューヨーク連銀にある約10億ドルの資金を送金しようと試みた。関係筋によると、米当局者はこの資金を無期限で凍結したという。

欧州連合(EU)は4日、ミャンマーにおける開発プロジェクトへの支援を停止したと明らかにした。国軍に資金面の支援を行わないようにするのが狙い。これまでには、さまざまなプログラムに2億ユーロ(2億4100万ドル)以上の支援を行ってきたという。

目撃者によると、治安部隊は4日、ヤンゴンなどでデモ隊を強制排除するため催涙ガスを使用し、銃を発砲。報道によると、ヤンゴンの西に位置するパテインでも発砲した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ミャンマー国軍が「利益に反する」クーデターを起こした本当の理由
・ミャンマー軍政を揺るがすミルクティー同盟──反独裁で連帯するアジアの若者たち
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

KKR傘下のロジスティードがアルプス物流買収へ=B

ビジネス

アジアのデータセンターM&A活発化、AIブームで記

ビジネス

トヨタの今期、2割の営業減益予想 成長領域などへの

ビジネス

郵船、1000億円上限に自社株買い決議 配当予想1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 10

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中