最新記事

ワクチン

ワクチン接種が当日キャンセル──予約した1500人のうち900人が無資格者の横入りだった

COVID Vaccine Clinic Closes as Ineligible Line-Cutters Register for Shots

2021年3月11日(木)16時35分
メーガン・ルース
アメリカ カリフォルニア州 新型コロナウイルス ワクチン接種会場

閉鎖した百貨店を利用したワクチン接種会場。まだ資格がないのに紛れ込もうとする人も後を絶たない(1月21日、カリフォルニア州チュラビスタ) Mike Blake-REUTERS

<専用会場でのワクチン接種に予約を入れた人の半数以上が州規定の接種対象グループに含まれず市当局がいったん中止を決定>

米カリフォルニア州パサデナでは、3月11日に予定されていた新型コロナウイルスのワクチン接種を予約した人の半数以上が、同州の優先順位では接種資格がない「横入り」の人々だった。同市の広報担当者であるリサ・ダーダリアンが本誌に明かした。

市当局は、接種資格がない人々の予約が殺到したことを受けて、11日に予定されていた専用会場でのワクチン接種の延期を決定。次の日程はまだ決まっていないが、15日からの週に実施したい考えだという。

ダーダリアンによれば、11日のワクチン接種には1500人を超える人が予約を入れていたが、そのうち900人以上が「接種資格なし」と見なされた。資格なしと判断されたのは、職場や居住地がパサデナではない人々や、州の規定でワクチン接種の優先グループには含まれない人々だ。

接種資格のない人が少人数ならば、まだその場で対処することも可能だが、900人以上となると接種を延期するしかない。新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける資格がある人々には、市当局から連絡して、予約の再調整ができるようにして解散した。

不安を募らせる高齢者

「感染状況が『赤色(4段階の上から2番目)』に引き下げられて経済活動が再開された場合に備えて、今週後半や来週にワクチン接種を受けておく必要があった高齢者や飲食店・食料品店の従業員などは、今回の一件でチャンスを逃してしまった」と、ダーダリアンは本誌宛てのメールでこう述べた。

ダーダリアンによれば、パサデナ市が今回の問題に気づいたのは、接種資格のない人々がワクチン接種の予約をしていると、ロサンゼルス・タイムズ紙の記者から知らせがあったからだ。

市は、ワクチン接種を受ける資格がある住民には予約用のリンクを送っていた。そのリンクが、他の人にも漏れていたようだ。

「みんな、自分がどの接種グループに属するかは分かっているはずだ■意訳■。疑問があれば、今回のロサンゼルス・タイムズの記者のように、電話で問い合わせて欲しい」と彼女はKNBCに語った。

パサデナ公衆衛生局のウェブサイトには、州の優先順位システムに基づき新型コロナウイルスワクチンの接種資格がある住民のリストと、ワクチンの安全性に関する情報、ワクチンについてのよくある質問とその答えが掲載されている。

カリフォルニア州ではパンデミックの発生以降、米国内のほかのどの州よりも多くの感染例が報告されており、9日までに同州の累計感染者数は350万人を超えている。パサデナは感染拡大が特に深刻な南部に位置しており、これまでに1万1000人の感染が報告されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、前倒しの過度の利下げに「不安」 

ワールド

IAEA、イランに濃縮ウラン巡る報告求める決議採択

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中