最新記事

クーデター

ミャンマー治安部隊、デモ参加者100人超殺害、クーデター後最悪

2021年3月28日(日)13時16分

ミャンマーの地元メディアや目撃情報によると、「国軍記念日」の式典が開かれた27日、治安部隊が各地で抗議デモの参加者に発砲し、複数の子供を含む114人が死亡。ヤンゴンの抗議デモ現場で撮影(2021年 ロイター)

ミャンマーの地元メディアや目撃情報によると、「国軍記念日」の式典が開かれた27日、治安部隊が各地で抗議デモの参加者に発砲し、複数の子供を含む114人が死亡。2月1日のクーデター発生以降、最悪の被害者を出した。

一方市民グループによると、軍用機が少数民族カレン族が自治を行う地域の村を空爆し、少なくとも2人が死亡した。反政府組織のカレン民族同盟はこれに先立ち、タイ国境に近い国軍の拠点を襲撃し、国軍中佐ら10人を殺害したと表明。近年比較的平穏だった同地域で緊張が高まっている。

クーデターで全権を掌握したミン・アウン・フライン総司令官は国軍記念日の演説に立ち、市民を守り、民主主義を目指すと強調した。

27日は、最大都市ヤンゴンのほか第2の都市マンダレーなどで、2月1日のクーデターや民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏の拘束に反発するデモ活動が行われた。

ニュースサイトの「ミャンマー・ナウ」によると、各地で治安部隊が抗議デモに発砲し、114人が死亡した。マンダレーでは、13歳の少女を含む少なくとも40人が、ヤンゴンでは少なくとも27人が死亡したという。中部サガイン地方でも13歳の子供が死亡した。

民主化勢力が結成した「連邦議会代表委員会(CRPH)」で広報を担う医師のササ氏は、オンライン形式のフォーラムで「きょうは国軍にとって恥ずべき日だ」と批判した。

国軍の広報担当者は、取材に応じなかった。

中部の町ミンジャンでは、デモ参加者少なくとも2人が死亡。住人の1人は、「(治安部隊は)まるで鳥やニワトリみたいに殺した。自宅で殺された人もいた」と語り、「それでも我々は抗議し続ける。軍政を倒すまで戦い続ける」と話した。

クーデター発生以降の死者は、27日で合計440人を超えたとみられる。

<西側諸国は批判、式典には露高官ら出席>

駐ミャンマーのトーマス・バジャ米大使はソーシャルメディア上で、「この流血は恐るべきものだ。ミャンマー国民の意思は明確に示されている。軍政を拒否するというものだ」と述べた。

ラーブ英首相は、非武装の市民や子供の殺害は事態を一段と悪化させたと批判。欧州連合(EU)の駐ミャンマー代表部は、27日は「恐怖と不名誉の日として永遠に刻まれる」と表明した。

軍事パレードの指揮を取ったフライン総司令官は演説の中で、選挙を実施すると改めて約束したが、具体的な日程には触れなかった。

総司令官は「国軍は全国民と協力して民主主義を守る」と表明。国軍は市民を保護し、平和を取り戻すとした上で「安定や安全を損なう暴力的な行為を通じて主張するやり方は適切ではない」と語った。

国軍側は、スー・チー氏と同氏が率いる政党・国民民主連盟(NLD)による「違法行為」があったため、国軍が全権を掌握するに至ったなどと説明している。スー・チー氏のほか、同党幹部の多くが拘束されている。

首都ネピドーで行われた国軍記念日の式典には、ロシアのフォミン国防次官が出席した。外交筋によると、式典にはロシア、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、ラオス、タイの8カ国の代表が出席したが、次官級が出席したのはロシアだけだった。

国営テレビは事前に、式典の妨害行為をすれば射殺されると警告していた。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀、内需拡大へ金融支援強化へ 過剰生産と消

ビジネス

中国SMIC、第4四半期は60.7%増益 予想上回

ビジネス

米関税、ユーロ圏物価を下押し 利下げで相殺可能=E

ビジネス

フランス産ワイン・蒸留酒輸出、貿易摩擦の影響で3年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中