インド、世界最大のコロナワクチン接種作戦 デマやゲリラの懸念も
当初、インドの壮大なワクチン接種計画を展開・追跡する中枢的なデジタルプラットホームである「CO-WIN」を中心に不具合も見られたが、コラプットの当局者によれば、最初の2フェーズに関しては、システムが十分に機能しているという。
地区責任者のミシュラ氏は、規模がはるかに拡大する第3フェーズでは、地元の警察官を総動員して群衆の整理に当たるとともに、遠く離れた地域で任務に携わるスタッフを支援するために追加の車両も手配することになると予想している。
だが、オリッサ州南西部の警察を指揮するラジェシュ・パンディット氏は、毛沢東主義者の反体制派が活動していることが知られている内陸部深くにワクチンを運ぶには、警察が民兵組織や特殊部隊と協力することも必要になると話している。
「特別な注意が必要になる」とパンディット氏は言う。
噂とためらい
ジャニさんはおよそ7年前、公認社会保健活動家(ASHA)になった。インドの村落地域における医療体制の要となる地域医療従事者である。
ジャニさんは500人が暮らす自分の村で妊婦の検診やマラリア検査の支援、発熱や下痢などに対する基本的な投薬を行っている。
5人家族の稼ぎ頭であるジャニさんは、月3000ルピー(約4300円)の収入を得て、娘2人、息子1人を学校に通わせている。
ワクチン接種を受ける予定を最初に聞いたとき、ジャニさんは特に心配もしなかった。だがその後、噂が耳に入ってきた。
「ワクチン接種を受けた後で失神や発熱といった症状が出ており、死亡例もあると誰かから聞いた」と彼女は言う。「だから怖くなった」
ニューデリーに本拠を置くオンラインプラットホーム「ローカルサークルズ」が実施した調査によれば、回答者1万7000人のうち62%が、ただちにワクチン接種を受けるのは気が進まないと答えている。主な理由は、想定される副反応への恐怖だ。
医療従事者のあいだにも同様の懸念は広まっている。多くの州ではワクチン接種の初期目標に到達できなかったため、インド政府は最前線の医療従事者にワクチン接種を拒否しないよう呼びかけることになった。
マザルパット地域医療センターの医療責任者であるタパス・ラジャン・ベヘラ医師は、当局は人々がワクチン接種に尻込みすることを想定しており、医療従事者には安全性に関する不安を鎮めるような指導をしている、と話している。
気が進まなかったジャニさんも、結局はワクチン接種を受けた。これで部分的にせよ、COVID-19に対する予防になる。パンデミックに打ち勝つというインドが掲げる目標に向けて、小さな1歩は記されたのだ。
(翻訳:エァクレーレン)