最新記事

医療

マジックマッシュルームを静脈注射した男性が多臓器不全、血液中でキノコが育っていた

Man Injects Magic Mushrooms, Gets Organ Failure As They Grow in His Blood

2021年1月14日(木)14時51分
アリストス・ジョージャウ

幻覚作用のあるマッシュルーム。使い方を誤ると悲劇 Cavan Images/iStock.

<煮出した「お茶」を静脈注射したところ下痢や吐血の症状が。臓器損傷が確認され集中治療室に運ばれる羽目に>

幻覚作用のある「マジックマッシュルーム」の汁を静脈注射したアメリカ人男性(33)が、多臓器不全を起こして入院した。

入院は22日間に及び、このうち8日間は集中治療室(ICU)だった。病院側が検査を行ったところ、男性が摂取したキノコ「ミナミシビレタケ」が「血液の中で育っていた」という。

アリゾナ州フェニックスにあるクレイトン大学医学部の研究者たちが、コンサルテーション・リエゾン精神医学会の機関紙にこの男性の症例について研究報告を行なった。男性は双極性障害を患っており、静注薬物の使用歴があった。

男性の家族は、男性が医師に処方された向精神薬を服用しないことがよくあったと研究者たちに語った。服用すると、うつ状態と躁状態を繰り返すことが多かったからだという。

また報道によれば、マジックマッシュルームを自分の血管に注射する前、男性はオピオイド依存症とうつ病の治療法について色々と調べていた。その中で、ネット上に複数の人物が「幻覚剤のLSDや幻覚作用のあるきのこを少量摂取したら治療効果があった」と書き込んでいるのを見つけたという。

キノコの力恐るべし

そこで男性は、マジックマッシュルームを煮出して「お茶」をつくり、それを濾して自分の静脈に注射した。するとその後の数日間で、倦怠感や黄疸、下痢や吐血などのさまざまな症状が出始めた。研究報告によれば、見つけた家族が病院の救急外来に連れて行った時、男性は「ひどい混乱状態」に陥っていたという。

病院のスタッフが検査をしたところ、男性には腎機能障害や肝障害など、複数の合併症が見つかった。多臓器不全と診断されてICUに運ばれ、点滴や抗生物質、抗真菌薬を投与された。その後もさらに敗血性ショックや急性呼吸不全を起こし、気管挿管が行われた。

血液検査を行ったところ、男性は細菌と真菌に感染しており、血中でミナミシビレタケが育っているのが確認された。

その後男性は症状が改善して退院したが、研究報告の執筆時点ではまだ、ミナミシビレタケが血中で育つのを防ぐための抗真菌薬をはじめ、複数の薬を服用していたということだ。

精神活性物質の(幻覚作用を持つ)シロシビンを含むマジックマッシュルームは、通常は口から摂取されるが、まれに静脈注射される事例が報告されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU議員団が訪中、中国製品の安全性と市場開放で圧力

ビジネス

午後3時のドルは158円後半でほぼ横ばい、イラン情

ワールド

インド中銀、8日は金利据え置きか 中東情勢見極め

ワールド

パレスチナ人死刑法撤回求める、国連人権高等弁務官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 5
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 6
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中