最新記事

感染第3波

GoToトラベル、28日から1月11日まで全国一斉停止へ 菅政権、支持率低下でようやく方針転換

2020年12月14日(月)20時20分

菅義偉首相は、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、観光促進策「GoTo トラベル」事業について、28日から来年1月11日まで全国一斉に一時停止する方針を表明した。写真は4日、代表撮影(2020年 ロイター)

政府は14日、観光需要喚起策「GoToトラベル」について、28日から来年1月11日まで全国一斉に停止することを決めた。新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済社会活動の両立を目指してきた政府は、これまで同事業の一斉停止には慎重だったが、感染者が増え続けていることや、専門家らによる分科会の提言を受けて方針を転換した。

年末の営業自粛に協力金、医療関係者への補助も増額

菅義偉首相は14日、首相官邸で開いた新型コロナ感染症対策本部の会合で、「年末年始にかけて、これ以上の感染拡大を食い止め、医療機関などの負担を軽減し、落ち着いた年明けを迎えることができるよう最大限の対策を講じる」と強調した。

GoToトラベルは27日までは札幌、大阪両市に加えて、東京都と名古屋市を目的地とする旅行も利用を一時停止する。28日から1月11日までは全国一斉に停止し、12日以降は「その時点での感染状況などを踏まえ、あらためて判断する」とした。

菅首相はまた、飲食店の営業時間短縮を「さらに延長をお願いせざるを得ない」とし、各地の飲食店に支払う協力金について「年末年始の期間、支援額を倍増して最大で1カ月120万円を支援する」と語った。

さらにコロナ患者に対応する医療機関に対し、空きベッドなどへの収入補償などを延長・拡大する。医師や看護師への支援額も倍増する。看護師が本来の業務に専念できるよう、病院が清掃などを民間業者に委託することも支援する。

勝負の3週間も感染拡大、「何としても食い止める」

東京都ではこの日新たに305人の新型コロナウイルス感染が確認された。重症者は73人と前日より3人増加した。

政府が勝負の3週間と呼びかけた11月下旬以降、新型コロナの感染者は全国で増え続け、12日には1日で3000人を超えるなど、過去最多を更新した。こうした状況を受けて、専門家らによる新型コロナ感染症対策分科会は11日、感染度合いが4段階で2番目に深刻な「ステージ3相当」の対策が必要な地域で、感染が拡大または高止まりしている場合は、GoToトラベルとイート事業を一時停止するよう提言した。

毎日新聞が先週末に行った世論調査では、政府の新型コロナ対策を評価する人は14%にとどまり、菅内閣の支持率も40%に急落、不支持率が支持率を上回る結果となっていた。

菅首相は14日夜、この日の決断について「コロナ感染というものを何としても食い止める、そうしたことに協力いただきたい。そうした思いの中で自ら判断した」と記者団に語った。

*内容を追加しました。

(石田仁志、竹本能文 編集:久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



ニューズウィーク日本版 2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月7日号(9月30日発売)は「2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡」特集。投手復帰のシーズンも地区Vでプレーオフへ。アメリカが見た二刀流の復活劇

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「サナエノミクス2.0」へ、総裁選で自動車税停止を

ビジネス

自民新総裁で円安・株高の見方、「高市トレード」再始

ワールド

アングル:高市新総裁、政治空白の解消急務 「ハネム

ワールド

自民新総裁に高市氏:識者はこうみる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    墓場に現れる「青い火の玉」正体が遂に判明...「鬼火…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 6
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 7
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中