最新記事

2020米大統領選

中国が「バイデン大統領」に期待感を漏らす

China's Media Turns Charm on Biden as Trump's Election Prospects Diminish

2020年11月6日(金)14時45分
ジョン・フェン

中国にとってはバイデンの方が御しやすい?(2013年12月に訪中したバイデンと習近平) REUTERS/Lintao Zhang

<トランプ再選の見通しが危うくなるなか、中立を強調してきた中国政府の姿勢にもつい本音が>

中国政府の厳しい統制下にある中国国営メディアの編集者が11月5日、アメリカでドナルド・トランプ大統領と次期大統領の座を争うジョー・バイデン前副大統領に関するジョークをツイッターに投稿。中国政府がバイデン米大統領の誕生を期待していることを強く示唆した。

共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙「環球時報」の胡錫進編集長は、あるツイッターユーザーの投稿のスクリーンショットをシェアした。バイデンならば、世界の2大経済大国である中国とアメリカの関係を「正常化」できる可能性がある、と指摘する内容だ。

匿名のユーザーは、「バイデンが米大統領に選出されれば、中国とアメリカの関係は正常化すると確信する。北京はFor-Biden City(バイデン支持の街)だからだ」と書いていた。中国の歴代皇帝が暮らした宮殿(現在は博物館になっている)の「Forbidden City(紫禁城)」を「For-Biden City(バイデン支持の街)」ともじったシャレだ。

ほかの主要メディアの編集長たちと同じように、胡もこれまで、中国の指導部が米大統領選でどちらの候補を支持しているかについては沈黙を貫いてきた。今回シェアしたツイートの主については、「頭のキレるネット民だ」と称している。

バイデン優勢の報道を受け姿勢に変化が

トランプが選挙当日に、民主党が「選挙を盗もうとしている」と主張して物議を醸した時には、胡はツイートで、米大統領選の投票をめぐる混乱は、中国政府にとって「ウィン・ウィン」だと示唆した。

中国が沈黙を貫くなか、有識者たちは習近平国家主席が本心ではどちらの候補を支持しているのかについて、憶測をめぐらせてきた。国際社会での影響力を増大させたい中国にとっては、支離滅裂なトランプ政権があと4年続いた方が有利だという主張もあれば、貿易や台湾をめぐる問題を考えれば、バイデンの方が融通が利くかもしれないという主張もある。

4日の時点では、中国政府は米大統領選について中立の立場を表明。中国外務省の汪文斌報道官は記者会見で、「米大統領選挙はアメリカの内政問題であり、この問題について中国としての立場はない」と述べていた。

だが5日になって、トランプの再選が危うくなっていることが報じられる。AP通信は、大統領選の勝利に必要な選挙人270人のうち、バイデンが既に264人を獲得したと報道。米国内でバイデン優勢の報道が主流になったことを受けて、中国政府の姿勢にもやや変化が生じたようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

IEA、24年の石油需要予測を下方修正 中国が鈍化

ビジネス

英中銀、銀行資本改革を緩和へ 「自己資本への影響小

ビジネス

中国、5兆ドル住宅ローンの金利引き下げへ 9月中に

ビジネス

キリンHD、ファンケルへのTOB成立 完全子会社化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    公的調査では見えてこない、子どもの不登校の本当の…
  • 5
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 6
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 7
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 8
    恋人、婚約者をお披露目するスターが続出! 「愛のレ…
  • 9
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンシ…
  • 10
    数千度の熱で人間を松明にし装甲を焼き切るウクライ…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 3
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 7
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 8
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 9
    「私ならその車を売る」「燃やすなら今」修理から戻…
  • 10
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中