【香港人の今4】「政権が見たいのは、こういう自己検閲だ」38歳新聞記者
RISING LIKE A PHOENIX
「香港民主の女神像」企画者 Alex(30代前半)
昨年まで香港に「民主の女神像」はなかった。逃亡犯条例改正案反対のなかで生まれ、デモの精神的支柱になった。
制作を企画したのは、在日香港人のAI研究者Alexだ。「芸術の目的の1つは思考や議論を引き起こすこと。かつてない視点を社会に提供し、芸術と社会、政治の関連性をより立体的に表現する」
クラウドファンディングで集めた20万香港ドル(約270万円)で、高さ約4メートルの像を制作した。数カ月後、女神像は香港人の精神を象徴する観光名所、獅子山(ライオンロック)に運ばれた。
Alexも約40人と共に悪天候の中、「わが子」を頂上へ届けた。「嵐のなか女神を担いで運んだことで、香港人の不撓不屈を示したかった」
像をめぐる運動はこれで終わりではなかった。制作チームはミニサイズの女神像を製作・販売し、利益を各抗議活動の支援組織に寄付した。だが、国家安全維持法が立ちはだかる。
「ネット上での言葉遣いにも気を配る。黄色経済圏の店とコラボする際は、リスクを考える必要もあった。われわれの銀行口座も理由なく凍結された」
「香港民主の女神像」の本部は日本に移転。海外での香港支援活動に参加できるよう、大型の女神像も作り直した。
<2020年11月24日号掲載>

アマゾンに飛びます
2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら