最新記事

2020米大統領選

「ペンシルバニアで多くの黒人が棄権しない限りトランプは勝てない」

Rove Says Trump Needs African-American Turnout to Be Low to Win

2020年10月29日(木)17時30分
ジェイソン・レモン

世論調査分析サイト「ファイブサーティーエイト」はオンラインのアンケートツール「サーベイモンキー」による調査を分析し、2016年の「大統領選本選に投票した人の25%は黒人、中南米系、アジア系などのマイノリティだが、この層は棄権した人の42%を占めた。黒人有権者に絞れば、投票した人の11%、棄権した人の19%を占めた」と報告している。

2016年にトランプはペンシルベニア州では得票率0.7%の僅差でクリントンに勝った。つまりは、どの層であれ、投票率がわずかでも上下すれば、勝敗が変わり得るということだ。

トランプは、1863年に「奴隷解放宣言」に署名したエイブラハム・リンカーンを除けば、自分は黒人コミュニティーにとって歴代最高の大統領だと主張している。これには多くの反トランプ派があきれ、物笑いの種にしている。民主党支持者の多くはトランプを公然たる人種差別主義とみなしているからだ。ピューが先日実施した調査では、黒人有権者の89%が「どちらかと言えば」または「強固に」バイデンを支持すると答え、トランプ支持の割合は8%にすぎなかった。

もっとも、トランプの自画自賛も全く根拠がないわけではない。2018年に超党派の合意で成立した刑務所改革法案「ファースト・ステップ法案」に署名した実績があり、トランプは黒人票獲得のためにこれを大いにアピールしている。アメリカの刑務所にいる受刑者は、極端に黒人が多いからだ。

アメリカの人口に占める黒人の割合は13.4%にすぎないが、連邦刑務所の服役囚のおよそ33%が黒人だ。ピューの今年5月の調査によると、白人に比べて黒人は服役囚の割合が5倍多い。厳罰主義を改め、囚人の教育や社会復帰に力を入れる法改正は、黒人コミュニティーに大きな恩恵をもたらすと、トランプ支持の少数の黒人は主張している。

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、パキスタンによる国境全域での攻撃発表 パキ

ビジネス

日経平均は続伸、米英貿易合意や円安を好感 TOPI

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 市場予想比

ビジネス

リクルートHD、今期10%増益予想 米国など求人需
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中