最新記事

中国

中国はトランプ再選を願っている

2020年10月24日(土)22時08分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

これはアメリカの人種差別に関する分裂があまりに酷いので、奴隷制度の是非を巡って1860年代に起きたアメリカの内戦であった南北戦争に似た内戦が起きる可能性さえあるという分析をしたものである。

したがってトランプ政権がこのまま続けばアメリカの国力は完全に衰退し、世界に対する牽引力も無くなるので、中国には有利に働くだろうという分析である。

こういう分析が出て来るほど、中国はトランプ政権がアメリカに与えるダメージを重要視している。
 
また中国では「トランプはアメリカにはあまり納税していないのに対して、2013年から2015年にかけて中国には188,561ドルの所得税を納税している」と報じた10月20日付けのニューヨーク・タイムズの報道を面白おかしく転載している。

日本では、トランプがあまりに激しい対中制裁を打ち出すので、てっきり中国ではトランプ再選を嫌がっているだろうと勘違いする人が多いかもしれないので、中国の真相の一端をご紹介した。

実は昨日、自民党本部の外交部会で習近平の軍民融合戦略や千人計画の実態などに関してお話ししたが、質問の中に「中国はポンペオ発言に対してどう思っているか」というのがあり、回答時間は10秒ほどしかなかったので、その補足も兼ねて中国の現状をご紹介した。

国会議員との議論は実に痛快で楽しく、私には一番波長が合っている。非常に有意義な議論ができたことを嬉しく思う。

追記:「中国がトランプの再選を願っている」ことを信じられない人のために、以前のコラムでもご紹介したことがあるが、中国には「川建国」という言葉があるのをご紹介しよう。「川」とはトランプ(Trump)の中国音標記名(川普Chuan Pu)の頭文字を取ったものでトランプのことを指す。「川建国」とは「トランプが中国を建国してくれた」という意味である。たとえば絵でご覧いただくと、トランプが中国人民と共に建国している様子が見て取れるだろう。

またこちらをご覧になると英文で書いたものが中ほどにあるので、それをクリックなさると拡大されるから英文を読んで頂きたい。トランプは「建国をした、しかしそれはアメリカという国ではない」という趣旨のことが書いてある。アメリカでも報道されているが、日本は報道が偏っているので、この現実を信じられないかもしれない日本人のために、現実をお知らせした。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。


中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。
この筆者の記事一覧はこちら

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱商事、今期26%減益見込む LNGの価格下落な

ワールド

インド4月自動車販売、大手4社まだら模様 景気減速

ワールド

米、中国・香港からの小口輸入品免税撤廃 混乱懸念も

ワールド

アングル:米とウクライナの資源協定、収益化は10年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中