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次期首相にのしかかる3つの難題──ポスト安倍の日本を待ち受ける未来

Japan After Abe

2020年9月15日(火)19時00分
シーラ・スミス(米外交問題評議会上級研究員)

歴代最長政権を引き継ぐ新首相は日本をどこへ導くのか(写真は自民党総裁選での菅義偉官房長官のポスター) ISSEI KATO-REUTERS

<コロナ禍でアベノミクスの成果が一気に吹き飛ばされるなか、新首相に待ち受ける前途多難な未来とは>

8月末に日本の安倍晋三首相が突然辞意を表明したときは、国内外の多くが驚いた。歴代最長政権の記録を作ったわずか数日後のことだった。

外国人にとって、安倍はこれまでになく日本を世界に関与させた。国内では、安倍は政局に安定をもたらし、着実な政権運営をしてきた。つまり安倍は、国内外で日本の再生を代表する存在だった。

だが、安倍が官邸を去る準備をするなか、日本はいくつもの大きな課題に直面している。とりわけ次期首相に重くのしかかる課題は3つある。まず、新型コロナウイルス感染症の拡大と、それによる深刻な景気後退だ。

このウイルスへの対応には、世界中のリーダーが苦労している。日本では、安倍の対応が遅過ぎたという不満は聞かれるが、統計的には日本はかなりうまくやっている。厚生労働省によると、先週末の時点で感染者数は約7万3000人で、致死率は1.9%と世界的には低いほうだ。

だが、コロナ禍の経済への影響は甚大だ。とりわけ観光業界は、東京オリンピックの開催延期が決まったこともあり、とてつもない打撃を受けている。また、それ以上に気掛かりなのは、日本の経済活動全般の低迷だ。

新型コロナの問題が深刻化する前から、日本の経済は弱含んでいた。そこにコロナ禍が来て、アベノミクスの成果は吹き飛ばされた。2020年4〜6月期のGDPは年率換算でマイナス27.8%にまで落ち込んだ。このダメージは日本がもともと抱える弱点を大きくするだろう。

近年、アメリカを中心に保護貿易のトレンドが広がっていたが、コロナ禍でこれに拍車が掛かれば、グローバルなサプライチェーンに依存する日本の製造業は大打撃を受け、そこから抜け出すためには一段と大きなハードルを越えなくてはならなくなる。既に息切れ状態にあった日本経済は、長期にわたり苦しむだろう。

次期首相が直面する第2の大きな課題は、緊張が増すアジアで、日本の安全保障を維持することだ。安倍が日本の防衛力を極めて効果的に強化したリーダーだったことは間違いない。

安倍の任期中、日本は国防費を増やし、憲法解釈を変更して自衛隊が外国で活動しやすくし、国家機密の漏洩に厳罰を科す特定秘密保護法を成立させた。自民党と連立を組む公明党とで、衆議院の議席の3分の2以上を握っていることが、こうした大きな変更を可能にした。

専守防衛の転換はあるか

しかしまだやるべきことは多い。河野太郎防衛相は6月、アメリカから調達する予定だった地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を停止することを発表した。「コスト、期間を考えると合理的ではない」というのがその理由だ。

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