最新記事

日本政治

ポスト安倍 菅義偉氏「官房長官は閣僚束ねる力必要、橋下徹氏は改革の道筋つけた」

2020年9月5日(土)11時42分

自民党総裁選に立候補した菅義偉官房長官は5日午前、官房長官としての資質については閣僚を束ねて政策を推進する力が必要と指摘した。2日都内で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

自民党総裁選に立候補した菅義偉官房長官は5日午前、日本テレビの番組に出演し、首相に選出された場合の閣僚人事について問われ、官房長官としての資質については閣僚を束ねて政策を推進する力が必要と指摘した。

また民間人の閣僚起用として元大阪府知事の橋下徹氏の名前が上がっていることに関し、これまでの支援の経緯や大阪行政の改革の道筋をつけた人物として評価した。

菅氏が首相に選出された場合の弱みとして「安倍晋三首相にとっての菅官房長官のような人材がいない」点を指摘されている。


同氏は官房長官になる資質について、スポークスマンとして政府としてメッセージを届けることに加えて「閣僚をとりまとめて政策を前に進めていくため、縦横をまとめて政策を推進する力が必要」だとした。具体的人選については「今は全く考えていない」とし、例として河野太郎防衛相や森山裕国会対策委員長の名前を挙げられると「非常に悩みますね」と答えた。

菅氏が首相となった場合の閣僚人事については、支援派閥による影響力が重しとなるとの観測があるが、「党のルールに従って総裁選が行われていると理解している」と反論。ただ「派閥の支援は大変力強い限りだ」とも述べた。また安倍首相が辞意を公表した際に、「禅譲の話はなかった」とも語った。

また同氏が日本維新の会との距離も近く、橋下氏の閣僚起用も取り沙汰されている。菅氏は、橋下氏のような民間人の閣僚起用について「仮定の話には答えない」としたうえで、橋下氏が大阪府知事となった際に党として支援した経緯を紹介。さらに総務相時代に大阪府と市の行政効率が悪いと指摘し橋下氏や松井氏がそれを改革してきた実績を指摘。「橋下氏は改革の一つの道筋をつけてきたと思う」と評した。

菅氏にとって外交が弱みの一つとして挙げられることがあるが、それについても反論。安倍首相とトランプ米大統領の37回の会談にも沖縄出張以外の時は全て出席しており、日米関係についての政策にも関与しているとし「官房長官というのは外に出ることはあまりない。ただ外交というのは継続だと思っている。そこはしっかりやれると思っている」とアピールした。

新型コロナウイルス対策で政府債務が膨らみ、財政状況に改めて懸念の声もあるが、当面は財政拡大は容認する考え方を示した。「給付や融資を中心に行い雇用をしっかり守り、企業が事業を継続できる環境を作ることが今最も大事」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・風雲急を告げるポスト安倍レース 後継候補の顔ぶれは?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・「アベノミクスは買い」だったのか その功罪を識者はこうみる
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200908issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月8日号(9月1日発売)は「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」特集。主導国なき「Gゼロ」の世界を予見した国際政治学者が読み解く、米中・経済・テクノロジー・日本の行方。PLUS 安倍晋三の遺産――世界は長期政権をこう評価する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾包囲の大規模演習 実弾射撃や港湾封鎖訓

ワールド

和平枠組みで15年間の米安全保障を想定、ゼレンスキ

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中