最新記事

感染第2波

東京都、コロナ警戒レベル引き下げ 営業短縮要請15日で終了、都外への移動自粛も求めず

2020年9月10日(木)22時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

東京都の小池知事は午後、新型コロナウイルスのモニタリング会議で、感染状況について「感染の再拡大に警戒が必要」として、営業時間の短縮要請を予定通り15日で終了することを決定した。(2020年 ロイター/Issei Kato)

東京都は10日、新型コロナウイルスの感染症対策のモニタリング会議を開き、感染状況について従来の最高レベルから「感染の再拡大に警戒が必要」へと、警戒度を引き下げた。これに合わせて8月6日から実施していた都内の飲食店への営業時間の短縮要請も予定通り15日までで終了することを決定した。

新たな感染は7日間平均で減少するも緩慢で、警戒は必要

10日午後に行われた新型コロナのモニタリング会議およびその後行われた対策会議では、新たな感染の確認は直近7日間の平均では149人となっており、8月上旬の半分まで低下していることなどから、感染状況の警戒のレベルを1段階引き下げ「感染の再拡大に警戒が必要」とすることになった。一方、医療提供体制は「体制強化が必要」として変更しなかった。

一方で、専門家は「依然として高い水準で推移しており、再び増加することへの警戒が必要な状況に変わりはない」と指摘。病院などで数十人規模のクラスターが発生すると、前の週と比べた「増加比」が再び100%を超えるおそれがあるとして、「引き続き陽性者の早期発見と感染拡大防止ガイドラインの徹底などの対策や取り組みを維持する必要が」と指摘している。

飲食店などへの営業時間短縮要請、15日で終了へ

また、東京都は酒を提供する飲食店やカラオケ店に営業時間を午後10時までとする営業短縮要請について、予定通り15日までで終了することを決めた。

これについて小池知事は「新規の陽性者数が8月上旬をピークにして減少し、8月半ば以降の人の流れの影響が心配されたが、その後も陽性者数は継続して減少している。これらの状況を踏まえ、一定の抑制効果があったと考えている。感染拡大の防止と社会経済活動の両立ということで営業時間短縮の要請を終了する」と述べた。

また、これまで都外への旅行などの自粛を呼びかけていたが、これについて小池知事は「感染症の専門家からは感染の再拡大に警戒は必要だという意見も伺っている。従いまして今後都外へ外出される際には改めて手洗いや消毒を始めとしてくれぐれも感染防止対策に万全を期していただきたい」と述べ、自粛要請を終了することを明らかにした。

インフルエンザとの流行記に向けて

この日のモニタリング会議では、再び新規感染者が増加する可能性として、インフルエンザ流行期についても報告があった。専門家は「インフルエンザ流行期に、発熱等の症状がある患者に対して、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染者を印象的に鑑別することは困難である。このため次のインフルエンザ流行期に備え、東京の実情に応じた発熱患者の相談・検査・診療のフローを作成することと検査体制の強化が大きな課題となる」との指摘がなされた。

【関連記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中