最新記事

ヘルス

悪口をよく言う人ほど「不幸になる」── 言霊の真相を科学で知る

2020年8月21日(金)17時45分
樺沢紫苑(精神科医、作家) *東洋経済オンラインからの転載

悪口や誹謗中傷にあふれたネット空間。それは決して見ていて楽しいものではない。にもかかわらず人はなぜ悪口をやめられないのか? asiandelight - iStockphoto

今年5月、恋愛リアリティー番組『テラスハウス』に出演中だった女子プロレスラーの木村花さんが自殺しました。ネット上での過激な誹謗中傷が原因と言われています。この事件以後、今まで野放し状態であったネット上の誹謗中傷に対して、もっと厳しく取り締まるべきだという声が増えています。

なぜ人は、悪口、誹謗中傷が好きなのでしょうか? 明らかに相手に精神的なダメージを与える行為なのに、どうしてやめられないのでしょうか?

「悪口を言う人」の心理とは

アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガーの言葉にもあるように、人間はついつい他人と自分を比較してしまう生き物です。

とくに日本人の場合、集団での和を乱さないためにも、他人の顔色をうかがう、他人の行動や言葉に目を光らせ、自分と比べるなどの傾向が強いと言えます。

コロナウイルスの流行に伴って現れた「自粛警察」と呼ばれる人たちも、自分は自粛のルールを守っているのに、それを守ろうとしない奴がいるという怒りが行動の元になっている。つまり、「他人と比較してしまう心理」が原因にあるわけです。

人間は、他人と自分を比べたときに自分が優れていると「優越感」を抱きます。その逆に、自分が劣っていると感じたときに「劣等感」を抱きます。

劣等感は強烈なネガティブ感情なので、それを何とか払拭したいという衝動にかられる。それを、悪口や誹謗中傷という形で発露したくなるのです。

悪口や誹謗中傷を言うことで、相手をおとしめることができます。自分対相手との比較において、相手を引きずり下ろすことによって、自分の価値を相対的に高めることができる。それによって、内なる劣等感を緩和しようという心理が働いてしまうのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾンなど3社の株主、米移民政策の影響開示を要請

ビジネス

仏経済、26年上半期は0.3%成長へ 消費安定=I

ビジネス

アングル:フォードのEV撤退、政策転換と需要減の二

ワールド

高市首相の解散判断「容認」、議員定数削減前でも=吉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中