最新記事

台湾

台湾訪問の米厚生長官アザー、蔡英文と会談 トランプの「強い支持」を伝達

2020年8月10日(月)22時45分

アザー米厚生長官(写真左)は8月10日、訪問先の台湾で蔡英文総統(写真右)と会談し、民主的な台湾に対するトランプ米大統領の強い支持を伝えた。台湾の新型コロナウイルス対応は世界で最も優れた例の1つと評価した。代表撮影(2020年 ロイター)

アザー米厚生長官は10日、訪問先の台湾で蔡英文総統と会談し、民主的な台湾に対するトランプ米大統領の強い支持を伝えた。また、台湾の新型コロナウイルス対応は世界で最も優れた例の1つと評価した。

アザー長官は9日に現地に到着。1979年の断交以降で最高位の高官による台湾訪問となった。

総統府で行われた会談でアザー長官は「トランプ大統領の台湾に対する強い支持と友好のメッセージを伝えに来ることができ、光栄に思う」と述べた。


今回の訪台は、経済や公衆衛生の分野で台湾との協力を強化するとともに、新型コロナ対策での台湾の国際的な役割を支持することを目的としている。

アザー長官は「台湾の新型コロナ対応は世界で最も成功した例の1つであり、オープンで透明性が高く民主的な台湾の社会・文化のたまものだ」と評価した。

台湾は早期に効果的な感染対策を打ち出したことが奏功し、新型コロナ感染者数は480人、死者は7人と、他国より大幅に低い水準に抑え込んだ。

米国は新型コロナを巡り、中国の透明性の欠如を繰り返し批判している。

蔡総統はアザー長官の訪問について、新型コロナ対策における双方の協力の「大きな前進」を意味するとし、ワクチンや治療薬の研究、生産などでの協力に言及した。

世界保健機関(WHO)総会への台湾の参加を米国が支持したことにも謝意を示した。台湾は中国の反対によりWHOに加わっていない。

蔡総統は「健康に対する権利に政治的な思惑が決して優先されるべきではないと改めて強調しておきたい。台湾のWHO総会を阻止するのは健康に対する普遍的権利の侵害だ」と述べた。

台湾国防部(国防省)によると、アザー長官と蔡総統の会談が行われた10日午前、中国軍の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて一時台湾側に入った。

米中関係の悪化に伴い、トランプ米政権は台湾を支援する姿勢を強め、武器売却を決定している。中国はアザー長官の台湾訪問に反発し、対抗措置を取ると警告していた。

アザー長官は午後に台北で記者会見を開き、今回の台湾訪問は、米国と台湾の深い友情とパートナーシップの認識を表すものだと述べた。

台湾は公衆衛生に関する透明かつ協調的な情報共有のモデルになってきたと指摘した。

また、蔡総統が謝意を示した、台湾の世界保健総会参加支持について、トランプ大統領の指示を受け、アザー長官とポンペオ国務長官が台湾のオブザーバー資格回復を試みたことを明らかにした。

「しかし中国共産党とWHOがそれを阻止した。これが、WHOに対するトランプ政権の不満の一つであり、WHOの改革能力のなさを示している」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・ヒューストンの中国総領事館はコロナ・ワクチンを盗もうとしていた?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・中国・三峡ダム、警戒水位を16m上回る 長江流域で支流河川に氾濫の恐れ、住民数千人が避難路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:軽飛行機で中国軍艦のデータ収集、台湾企業

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中