最新記事

韓国経済

韓国日産は撤退、いっぽう現代自動車は日本再進出か? 

2020年6月24日(水)18時30分
佐々木和義

現代自動車は日本に再進出すると噂されている...... REUTERS/Kim Hong-Ji

<韓国日産が2020年12月で撤退すると発表したが、コロナウイルスの影響で経営が悪化している自動車関連会社にさまざまな動きがあった......>

韓国政府は新型コロナウイルスの影響で経営が悪化している自動車関連会社を支援する特別保証に着手した。予算規模は3000億ウォンで、補正予算に加えて大企業や自治体の出資金も活用する。現代自動車が100億ウォンの出資を決め、韓国GMと自治体は出資規模の協議に入った。各銀行は既存貸付の満期を延長する。

部品メーカーが経営難で現代自動車が出荷停止に

韓国南東部慶州市の部品メーカー、ミョンボ産業が工場を閉鎖し、現代自動車の蔚山(ウルサン)工場が出荷停止に追い込まれた。

ミョンボ産業は現代車のパリセード、サンタファといったSUV車のシートや運転席の部品等を製造する2次協力会社で、ジャストインタイム生産システムを採用する自動車工場は、部品供給が1個でも滞ると生産ラインが停止する。ミョンボ産業が単独供給する部品の金型は他所にはなく、現代自は最終組立てができない事態に陥った。

現代自グループは1次、2次、3次の協力会社と部品サプライチェーンを構築している。納品数量が保証された協力会社は安定経営を維持してきた。しかし、海外生産比率の高まりで納品規模は縮小し、現代自は納品ラインの多角化支援を行うが、零細なサプライヤーは多角化が難しい。

納品数の保証を求める零細工場の代表が、部品の金型を持って姿を隠すなど、現代自と1次協力会社、また1次と2次間の葛藤が頻発していた。ミョンボ産業は、現代自動車に対し、規模が大きいサプライヤーによる買収の仲介を求めている。

中堅メーカーは資産の現金化に着手

韓国の2020年5月の自動車輸出は前年同月比57.6%減の9万5400台にとどまり、2003年以来、16年10か月ぶりに10万台を割り込んだ。輸出不振を受けた現代・起亜自動車は国内営業を強化し、中堅メーカーは資産の現金化に着手した。

韓国GMは仁川(インチョン)市富平にある物流センターを売却する手続きに入った。売却額は400億ウォン(約35億円)程度と見込まれている。韓国GMは生産と販売に必要な最小限の施設と敷地を残して、他の資産を売却したい考えで、昌原(チャンウォン)物流センターと済州部品センターも閉鎖を予定する。

双龍自動車はソウル市九老(クロ)のサービスセンターを1800億ウォンで売却し、複数年の賃借契約を締結した。釜山物流センターを263億ウォンで売却したほか、京畿道や忠清南道の物流センターも売却する計画だ。ルノーサムスンは売上が伸びない支店とサービスセンターを売却する検討に入った。

韓国GMは2014年から6年連続の赤字で、今年度は単年度黒字を掲げたが、実現は難しい。双龍車は13四半期連続赤字で、ルノーサムスンは今年度、赤字に転換すると見られている。

【話題の記事】
動画:「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?
ヒトの老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進むことがわかった

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米シティ、ライトハイザー元通商代表をシニアアドバイ

ビジネス

アップル、関税で今四半期9億ドルコスト増 1─3月

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P8連騰 マイクロソ

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント財務長官との間で協議 先
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中