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米人種差別抗議デモ

天安門事件の教訓にアメリカが学ぶとき──血の弾圧は独裁国家でなくても起こる

Tiananmen Can Happen Here

2020年6月10日(水)17時00分
ルイ・チョン(ウッドロー・ウィルソン国際研究センター米中研究所プログラムアシスタント)

アメリカの警官たちはデモ隊の前にひざまずき、公然と大統領に反旗を翻した。その姿は人民解放軍の司令官、徐勤先(シュイ・チンシエン)を彷彿させる。徐は1989年5月にデモ鎮圧のために配下の軍を出動させるよう命じられて、「人民に銃口を向けることはできない」と毅然として突っぱねた。

「歴史の審判で犯罪者となるくらいなら、斬首の刑に処せられるほうがましだ」と言ってのけた徐。彼は処分され、配下の兵士たちは命令に従って戦車で天安門に乗り込んだ。

今こそ思い起こそう。抗議の声を上げるのも普通の人たちなら、弾圧を命ぜられるのも普通の人たちなのだ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2020年6月16日号掲載>

【参考記事】Black Lives Matter、日本人が知らないデモ拡大の4つの要因
【参考記事】共産党にひざまずき、少数民族を見下した「天安門事件」の闘士たち

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