最新記事

感染症対策

EU、新型コロナのワクチン確保に向け緊急基金で開発・生産支援も

2020年5月14日(木)10時50分

5月13日、欧州連合(EU)の欧州委員会は、新型コロナウイルス感染症のワクチン不足を防ぐため、24億ユーロ(26億ドル)規模の緊急基金をワクチン開発・生産支援に充てる可能性があることがロイターが確認した内部文書で分かった。英医薬品製造受託(CDMO)のコブラ・バイオロジクスで4月30日撮影(2020年 ロイター/Carl Recine)

欧州連合(EU)の欧州委員会は、新型コロナウイルス感染症のワクチン不足を防ぐため、24億ユーロ(26億ドル)規模の緊急基金をワクチン開発・生産支援に充てる可能性があることがロイターが確認した内部文書で分かった。

現在、新型コロナのワクチンは90種以上が開発中で、うち8種は臨床試験段階にある。だが専門家は、完成したワクチンの大量生産は開発と同じくらい難しい可能性があると警告する。

文書によると、欧州委はEUが生産能力を強化し、ワクチンを最も必要とする人から接種を行う計画を立てるべきと考えている。

欧州委のキリアキデス委員(保健衛生担当)はEUの緊急支援基金(ESI)を活用し、欧州でのワクチン生産能力の強化、製薬会社への賠償責任保険の提供に充てることを検討しているという。

また、新型コロナ感染症の治療・研究にもESIの資金が充てられる可能性がある。

ESIには現在、24億ユーロ近い資金があり、新型コロナ流行を受け、すでに約3億ユーロがマスク調達や医療体制の強化に使われている。

欧州委の報道官はロイターに対し、「EU全市民にワクチンを行き渡らせるためにESIをどう活用すべきか検討している」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し
・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 3月下旬以来の少なさ
・WHO、複数の新型コロナウイルス治療薬に注目 ワクチン開発は難航と予測
・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに



20050519issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月19日号(5月12日発売)は「リモートワークの理想と現実」特集。快適性・安全性・効率性を高める方法は? 新型コロナで実現した「理想の働き方」はこのまま一気に普及するのか? 在宅勤務「先進国」アメリカからの最新報告。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措

ビジネス

FRB金利据え置き継続の公算、PCEが消費の慎重姿

ワールド

米、対ロ制裁法案審議へ ロシアの和平交渉遅延を非難

ワールド

トランプ氏「ガザ停戦合意に近づいている」、イラン核
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中