最新記事

アメリカ社会

トランプ「米国の新型コロナウイルス死者最大10万人、ワクチンは年内にできる」

2020年5月4日(月)16時11分

トランプ米大統領は3日、新型コロナウイルス感染症による国内の死者が最大10万人に達する可能性があるとの見方を示した。実際の死者数が自身の従来予想を既に上回ったことを受けた。ただ、年末までにワクチンができると確信しているとも語った(2020年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領は3日、新型コロナウイルス感染症による国内の死者が最大10万人に達する可能性があるとの見方を示した。実際の死者数が自身の従来予想を既に上回ったことを受けた。ただ、年末までにワクチンができると確信しているとも語った。

トランプ氏はFOXニュースの対話番組で、「われわれは7万5000人、8万人から10万人の人々を失うことになるだろう。ひどい話だ」と述べた。同氏は前週の早い段階で死者数が6万─7万人になると予想し、1日には10万人に達しないことを望むと述べていた。

米国の新型コロナ感染症の死者は6万7000人を超え、累計の感染者数は110万人強となった。

ただ、感染者の増加ペースが落ち着き始めたことから、国内の州の約半数は新型コロナ感染拡大を抑制するための制限の一部緩和に踏み切った。

トランプ氏は「国全体として封鎖を継続するわけにはいかない。国としてたちゆかなくなる」と強調した。

トランプ氏が最近、自身への支援が足りないとやり玉に挙げることもあった保守系FOXニュースの同番組はオンラインで視聴者と対話する形式がとられた。新型コロナ流行の影響で、11月の大統領選で再選を目指すトランプ氏は遊説ができない状態が続いていた。

トランプ氏は新型コロナのワクチンについて「年末までにできるだろう。医師らはそのような発言はするなと言うだろうが、わたしは自分の思ったことを言う」と述べた。

米国立衛生研究所傘下の国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長を含む多数の保健専門家は、ワクチン開発には1年から1年半の時間を要するとの慎重な見解を示している。

トランプ氏はまた、新型コロナが再流行する可能性を認めつつも、今秋の学校や大学の再開を望んでいると述べた。

新型コロナ対応の景気対策については、議会でこれまで成立した3兆ドル近くから6兆ドルまで拡大する可能性があると表明。「さらなる支援が控えている。そうあるべきだ」と述べた。

「インフラ投資を行う見通しで、(ムニューシン財務長官)にはきょう、給与税の減税がない限りは何もしないと伝えた」とした。

トランプ政権の新型コロナ対応がスピード感を欠いたとの批判があるなか、同氏は、中国は「ひどい間違い」を犯したと批判。中国に責任を転嫁することで批判をかわそうと図った。ただ、批判の根拠などについて踏み込んだ説明はなかった。

この週末は好天に恵まれ、外出制限が続いている都市でも人々が外出する姿がみられた。

首都ワシントンでは2日、新型コロナの最前線で闘う医療従事者に感謝を示す軍のアクロバット飛行を見物しようと数千人がナショナル・モールに集まった。

ニューヨーク市のマンハッタン地区では、ピクニックや日光浴を楽しむ人の姿が多くみられた。デブラシオ市長は、事態を受け警察のパトロールを強化する方針を示した。

米政府の新型コロナ対策タスクフォースを指揮するバークス調整官は3日の「フォックス・ニュース・サンデー」で、海岸に多くの人が訪れていることについて、少なくとも1.8メートルの対人距離を置かなくては安全ではないと指摘。ミシガン州などで行われている、封鎖措置解除を求めるデモも深刻なリスクをもたらすとし「個人的に非常に懸念しているのは、彼らが家に帰って、疾患を持っている祖父母に感染させ、深刻あるいは非常に不幸な結果をもたらしてしまうことだ。そうなれば、残りの人生、罪悪感にさいなまれるだろう」と語った。

[ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
・東京都、新型コロナウイルス新規感染91人確認 都内合計4568人に(グラフ付)
・『深夜食堂』とこんまり、日本人が知らないクールジャパンの可能性
・感染深刻なシンガポール、景気悪化で新型コロナ対応措置を段階的に解除へ


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG「ビジョン・ファンド」、2割レイオフ

ビジネス

三井住友FG、米ジェフリーズへ追加出資で最終調整=

ワールド

EU、ロシア産LNGの輸入禁止前倒し案を協議

ワールド

米最高裁、トランプ関税巡る訴訟で11月5日に口頭弁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中