最新記事

トランプ

トランプのブゥードゥーコロナ対策が米医療を引っ掻き回す悲劇

Coronavirus: Trump Questions New York's Need For 300,000 Masks, Accuses Hospitals Of Hoarding Ventilators

2020年4月6日(月)17時45分
アーサー・ビラサンタ

専門家のファウチ博士(壇上)に質問しようとした記者を止めたトランプ。都合の悪い質問だったからだ(4月5日、ホワイトハウス)Joshua Roberts-REUTERS

<病院が人工呼吸器をためこんでいる、貴重な資材が横流しされている、人工呼吸器より効く薬(未承認)がある──新型コロナウイルスと戦う病院をトランプが攻撃。非難の矛先をそらすいつもの手か>

ドナルド・トランプ大統領は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の大流行で大打撃を受けているニューヨーク州や市に対して敵意ある発言を続けている。連邦政府に人工呼吸器やマスクの不足を訴えてきたニューヨークに対し、なぜそんなに大量の医療物資が必要なのかと問い、一部の病院が「買い占めている」に違いない、と非難した。

病院を告発したものの、トランプは証拠を出さず、病院名も明かさなかった。トランプに批判的な人々は、政権の混乱した危機対応に批判が集まっていることから、責任追及の矛先が自分に向かないよう、別に犯人を仕立てあげようとしているのだ、と指摘している。トランプの常套手段だ。

「一部の医療従事者や一部の病院が......人工呼吸器などの医療品を買いだめしている」と、トランプは3月29日、企業幹部との会議の後、ホワイトハウスの記者会見で主張した。「人工呼吸器を使う予定のない病院は、すぐに手放すべきだ」

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事とビル・デブラシオ市長(どちらも民主党)はトランプに激しく論戦しを繰り広げ、マスクをため込んでいると二人を非難した。

<参考記事>「アメリカの医療システムは新型コロナの津波に呑み込まれる」(ニューヨーク州知事)

マスク需要の急増はおかしい

マスクについても、ニューヨーク市などでマスク需要が急増したのはおかしい、とトランプは疑問を口にした。そして報道陣に「何かおかしなことが起こっている」「それを調べるべきだ」と言った。

「いったいどうしたら必要なマスクがどんどん増え、10枚、20枚から3万枚、30万枚になるのか。いくら非常時だからといっておかしな話だ」と、トランプは問いかけた。「何かが起こっている。マスクはどこに行ったんだ? 不正に横流しされているんじゃないか? 週に1万枚必要だという話から、どうして30万枚になる? そんなことがあちこちで起きているんだ」

さらにトランプは、人工呼吸器など非常に重要な物資を「多くの州が溜め込んでいる」と主張、「そのことを認めない州もある」と語った。根拠は何も示していない。

<参考記事>FOXニュースで医師がトランプのコロナ対応を酷評

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

FRB議長人事、大統領には良い選択肢が複数ある=米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中