最新記事

感染症対策

各国が寄港拒否のクルーズ船、トランプがフロリダ州に受け入れ要請「人類にとって正しいことを行う」 

2020年4月1日(水)15時18分

トランプ米大統領は、船内で新型コロナウイルス感染者が確認され各国で寄港を拒否されているクルーズ船「ザーンダム」について、フロリダ州当局者に受け入れるよう求めた。写真は「ザーンダム」。パナマで28日撮影(2020年 ロイター/Erick Marciscano)

トランプ米大統領は31日、船内で新型コロナウイルス感染者が確認され各国で寄港を拒否されているクルーズ船「ザーンダム」について、フロリダ州当局者に受け入れるよう求めた。

トランプ氏はホワイトハウスでの会見で、受け入れに難色を示しているフロリダ州のデサンティス知事と話しをすると述べ、「船の上で人々が死にかけている。われわれにとってだけでなく、人類にとって正しいことを行う」と説明した。

クルーズ船運航会社ホーランド・アメリカ・ラインのクルーズ船ザーンダムでは、乗船者の新型コロナ感染が確認され、既に4人が死亡している。中米の太平洋岸で足止めされていたが29日にはパナマ運河の通過が認められた。

パナマ運河通過前、医療スクリーニング検査をパスした3分の2近くの乗客は姉妹船の「ロッテルダム」に移動した。2つの船はフロリダ州南部のフォートローダーデールにあるエバーグレイド港に向かっているという。

ザーンダムには乗客・乗員約1050人、ロッテルダムには約1450人が乗船しているという。新型コロナの感染拡大が懸念されるなか、フロリダ州で誰が下船できるかは不明。

フロリダ州のデサンティス知事は30日にフォックス・ニュースとのインタビューで、フロリダ州の住民以外を受け入れて貴重な医療施設を使わせることはできないとし、受け入れに難色を示した。また同日の会見では、ザーンダムを寄港させずに医療支援を行う方が好ましいとの考えを示した。

30日時点で、ザーンダムの76人の乗客、117人の乗員にインフルエンザのような症状が出ており、8人は新型コロナの検査結果が陽性だったという。

ザーンダムは3月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスを出航。3月21日にチリのサンアントニオでクルーズを終了する予定だった。約2週間前にチリのプンタアレナスに寄港してから誰も下船していない。

ホーランド・アメリカラインは、カーニバル傘下のクルーズ会社。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(4月1日現在)
・BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に
・韓国発の超大作『キングダム』、台湾・香港版タイトルが韓国で炎上 新型コロナウイルスもあって問題化


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要

ビジネス

テスラ、ドイツで派遣社員300人の契約終了 再雇用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中