最新記事

感染症

BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に

2020年3月31日(火)19時00分
松岡由希子

過剰に期待するのは危険だが...... Sato310-photoAC

<BCGワクチンが新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を軽減させる可能性があるのでは、と各地で検証する動きが広がっている......>

豪メルボルンの小児医療研究所「マードック・チルドレンズ・リサーチ・インスティチュート」は、2020年3月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID19)に対するBCGワクチンの効果を検証する臨床試験に着手した。

豪州の医療従事者4000名を対象に、BCGワクチンが新型コロナウイルス感染症の重症化率を軽減するかどうか調べる。学術雑誌「サイエンス」によると、オランダでも、8カ所の医療機関に勤務する1000名の医療従事者を対象に、同様の臨床試験が開始されている。

BCGワクチン接種と新型コロナウイルス感染拡大との負の相関関係が指摘

結核を予防するBCGワクチンは、1940年代以降、世界各地で普及し、日本でも、1949年にBCGワクチンによる結核予防接種が法制化された。

2011年3月時点の調査結果によると、180カ国のうち日本を含めた157カ国でBCGワクチンの全例接種が行われている一方、結核罹患率の減少に伴って、1980年代以降、スペイン、フランス、ドイツ、英国、オーストリアなどの欧州9カ国、オーストラリア、ニュージーランドで全例接種が中止され、米国やカナダ、イタリア、オランダでは、医療従事者などのハイリスク群のみに接種を限定する選択的接種となっている。

新型コロナウイルス感染症患者が欧米で急増するなか、「BCGワクチン全例接種を実施している国では、そうでない国に比べて、新型コロナウイルス感染症の感染者数や感染者数に対する死亡者数の割合が低い」と、BCGワクチンの接種と新型コロナウイルス感染症の感染拡大との負の相関関係が指摘されている。

たとえば、1981年にBCGワクチン全例接種を中止しているスペインでは、新型コロナウイルス感染症の感染者数が7万8797人、死亡者数が6528名と甚大な被害が出ている一方、BCGワクチンの全例接種を実施している隣国ポルトガルでは、感染者数が6528名、死亡者数が119名にとどまっている(3月30日時点)。

BCGワクチンが先天性免疫応答を調節し、結核以外のウイルス感染から防御する作用を持つ可能性があることもわかっている。蘭ラドバウド大学の研究チームが「BCGワクチンの接種が黄熱ウイルスの感染を抑制するのか」を検証した2018年1月の研究論文によると、「BCGワクチンの接種により、弱毒化した黄熱ウイルスのワクチン株の感染から防御する働きが認められた」という。

ニュース速報

ビジネス

G7、途上国債務など協議 経済回復へ連携継続=麻生

ビジネス

米ADP民間雇用、5月は276万人減 予想ほど悪化

ワールド

サウジとロシア、協調減産1カ月延長で合意 順守強化

ワールド

ドイツ、EU・シェンゲン圏・英との往来禁止を6月1

MAGAZINE

特集:検証 日本モデル

2020-6・ 9号(6/ 2発売)

日本のやり方は正しかったのか? 感染対策の効果を感染症専門家と考える

人気ランキング

  • 1

    西浦×國井 対談「日本のコロナ対策は過剰だったのか」

  • 2

    世界最速の座から転落 「上海リニア」もはや無用の長物?

  • 3

    トランプの着々と進む「戦争」準備、ワシントン一帯に兵を配備

  • 4

    東京都「東京アラート」発動、レインボーブリッジ赤く…

  • 5

    警官と市民の間に根深い不信が横たわるアメリカ社会…

  • 6

    「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がア…

  • 7

    韓国総選挙にデジタル不正疑惑か? 中国から開票機…

  • 8

    日本不買運動で韓国人が改めて思い知らされること

  • 9

    トランプ、州兵動員拒否の州知事を非難「NY市はずた…

  • 10

    コロナ禍の世界が熱望する「日本製」 揺るがぬ信頼…

  • 1

    ロンドンより東京の方が、新型コロナ拡大の条件は揃っているはずだった

  • 2

    「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

  • 3

    レストランで騒ぐ息子が店員に叱られた話、FBに投稿したら炎上した... なぜ?

  • 4

    ギター人気復活を導く「スーパークール」な和製ギター

  • 5

    「NO JAPAN」に揺れた韓国へ「股」をかけて活躍した日…

  • 6

    韓国総選挙にデジタル不正疑惑か? 中国から開票機…

  • 7

    ブラジルのコロナ無策は高齢者減らしのため?

  • 8

    新型コロナの死亡率はなぜか人種により異なっている

  • 9

    北朝鮮の民間経済を圧迫する独裁者の国債

  • 10

    韓国、アイドルファンも抗議デモ 愛すればこそ、裏切…

  • 1

    「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

  • 2

    金正恩「死んだふり」の裏で進んでいた秘密作戦

  • 3

    スズメバチが生きたままカマキリに食べられる動画が、アメリカでバズる理由

  • 4

    気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言し…

  • 5

    過激演出で話題のドラマ、子役2人が問題行動で炎上 …

  • 6

    日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいってい…

  • 7

    コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当…

  • 8

    ロックダウンは必要なかった? 「外出禁止は感染抑…

  • 9

    コロナ禍で露呈した「意識低い系」日本人

  • 10

    優等生シンガポールの感染者数が「東南アジア最悪」…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月