最新記事

感染症対策

政府、新型コロナウイルスの自宅療養者数を把握せず PCR検査における陽性率上昇に注目

2020年4月23日(木)14時20分

写真は、東京都江戸川区で22日、ドライブスルーによるPCR検査の検体採取のシミュ―レーションをする医療関係者(2020年 ロイター/Issei Kato)

菅義偉官房長官は23日午前の会見で、新型コロナウイルスの感染防止対策を巡り、自宅での療養者の人数は政府として把握していないことを明らかにした。軽症とされて自宅療養中だった男性が死亡した事例が発生したことなどを踏まえ、今後把握していく方針であることを明らかにした。またPCR検査における陽性率が上昇傾向にあることから、感染まん延の指標として有効との認識を示した。

厚生労働省は全国の陽性者数を検査数で割った数値を公表し、4月21日までの累積で全国平均は10%となり、3月21日までの5%から上昇傾向にあることが明らかとなった。菅長官は、この「陽性率」について、地域における感染まん延状況の一つの指標になるとの認識を示した。

こうした感染状況を踏まえて、緊急事態宣言の期間を5月6日からさらに延期するかどうかについて、同長官は「あくまで専門家の判断による」とした。さらに昨日の専門家会議では1日の患者数が455人を上回っており、その7割程度が特定地域が占めている、との分析があると指摘した。

新型コロナの感染有無を判断するため、政府は一層のPCR検査の拡充を進めており、すでに地域によっては検査センターの設置なども進んでいる。一方で以前に感染したことがあるかどうかを検査する抗体検査については、民間企業の間で様々な検査キットの販売告知も見られる。

22日には日本赤十字社が厚生労働省の依頼を受けて抗体キットの評価研究を実施する旨を発表した。

菅官房長官はこうした動きについて「抗体検査キットはあるが、十分に評価されたものは現在無い。海外キットの複数について評価中だが、評価はまだ不確実であり、検査機関には結果を知らせていない」として、現状で評価が確定した検査キットはないと説明した。

(中川泉 編集:内田慎一)

[東京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「新型コロナウイルス第2波、今冬に米国を襲う より大きな影響も」米CDC局長
・金正恩重体説に飛びつく期待と幻想
・米ジョージア州が「ロックダウン破り」、濃厚接触でも営業再開を待ちきれず
・日本がコロナ死亡者を過小申告している可能性はあるのか?


20200428issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三井住友銀行、印イエス銀の株式取得へ協議=関係筋

ビジネス

米関税、インフレと景気減速招く=バーFRB理事

ワールド

焦点:印パ空中戦、西側製か中国製か 武器の性能差に

ワールド

金総書記、ロ大使館を異例の訪問 対ドイツ戦勝記念日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中