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コロナ対応医療関係者への給料3倍:中国は2003年から法制化

2020年4月22日(水)19時53分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

封鎖中、どの分野の産業領域に関して、どういった国有企業が生産を継続していたかに関しては4月21日発売の雑誌『FISCO 株・企業報 Vol.9』の特集記事「新型コロナウイルスとデジタル人民元の野望」で詳述した。

医療崩壊を防ぐか否かは日頃の「危機管理」の問題

世界で一、二を競う高いレベルの医療技術を持っているはずの日本が今、医療崩壊を防ぐために検査数を抑えるか否かという「あり得ない」議論をしたり、あるいは現場の医療従事者の防護服が足りなくてゴミ袋を使うなど、武漢の初期のような状態を呈している。コロナ対策も二転三転して、ようやく全戸に配り始めた2枚の布マスクは虫や毛髪が入っていたりカビが生えていたりと不良品が続出しているようだ。

4月21日の毎日新聞<虫混入、カビ付着...全戸配布用の布マスクでも不良品 政府、公表せず>の報道には、カビだらけになったマスクの写真が掲載されている。しかも政府はこの事実を公表しようとしなかったとのこと。

日本の「危機管理体制」の決定的な欠如が、今回ほど露呈したことはなかった言っていいだろう。

休業補償もなく「自粛」により「自己責任を押し付けるやり方」はあまりに日本国民にとっては残酷で、日本経済を逆に崩壊させ、日本国民を不安と疲弊のどん底に追い込んでいる。

4月6日のコラム<緊急事態宣言と医療崩壊の日中比較>でも述べたように、昨年(2019年)10月28日、安倍首相は「病院再編と過剰なベッド数の削減など指示」している。「一刻も早くベッド数を減らせ!」と指示しているのである。緊急事態があった時に病院のベッド数を確保しておかなければならないという長期的視野など微塵もない。あるのは、営利重視の政府の姿勢だ。そもそもコロナ対策の総司令塔が(西村)経済再生担当大臣であるということからも推して知るべし。「国家の精神」が如実に表れている。

それでもコロナの責任は習近平とWHOにある

それでもなお、全人類を絶望と存亡の危機に追いやっている最大の犯人は習近平と、習近平に忖度したWHO事務局長であることに変わりはない。二人は人類に対する償い切れない罪を犯した。この罪は必ず償わなければならないし、いかなる事態になろうとも直視すべきだ。

特にアフターコロナで中国が一人勝ちして世界新秩序を形成するかもしれない現状において、私たちは中国の真相から、それがどんなに不愉快であっても、目を逸らしてはならないのである。そのために、中国の伝染病対応に関する危機管理体制の一部を考察した。

一方では、このような危機管理体制にあっても、野生動物に関する規制遵守を監視していなかったという中国の指導体制の脆弱性と無責任さも見逃してはならないだろう。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

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