最新記事

感染症対策

WHO「新型コロナウイルスまだパンデミックに至らず、協調で封じ込め可能」

2020年3月6日(金)08時08分

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は5日、新型コロナウイルスの感染拡大はまだ「世界的な大流行(パンデミック)」の段階には達していないとしながらも、「極めて懸念すべき兆候は出ている」と述べた。ジュネーブのWHO本部で2月撮影(2020年 ロイター/DENIS BALIBOUSE)

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は5日、新型コロナウイルスの感染拡大はまだ「世界的な大流行(パンデミック)」の段階には達していないとした上で、世界各国が協調して取り組めば封じ込めは可能との見解を表明した。

テドロス事務局長はジュネーブのWHO本部で行った記者会見で「パンデミックと判断される時が来れば、科学と証拠に基づき、パンデミックと宣言することに全く問題はない」と指摘。同時に、封じ込めが可能であることを示している国もあり、「諦める時ではない」と強調した。

さらに「すべての国に対し迅速で大規模、かつ断固とした対応を呼び掛ける」と強調。「一部の国は十分に真剣に受け止めていないか、できることは何もないと決めている」とし、「現在は諦める時でも、言い訳を探す時でもない。今は最大限の努力を行う時だ」と述べた。

また、特に保健医療制度が十分に整っていない国で新型ウイルスの感染確認が増加していることを懸念していると指摘。ただ、新型ウイルスは「先進国、途上国を問わず全ての国に対する脅威」であるとし、先進国も思わぬ展開に対し積極的に備える必要があるとの考えを示した。

一部では今回の新型ウイルスの感染拡大はすでにパンデミックに達しているとの見方も出ているとしながらも、WHOは封じ込めに向けた戦略が放棄されてはならないと考えていると述べた。

新型ウイルス感染で107人が死亡し、感染者が3500人超に達しているイランについて、緊急事態プログラム責任者のマイク・ライアン氏は「イランが問題の深刻さを認識し始めている」とし、「感染の初期にはどの国も後手に回る。イラン入りしたWHOのチームは当局と共に対応策を見極めている」と述べた。

*内容を追加しました。

[ジュネーブ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス感染症はいつ、どう終息するのか
・韓国、新型肺炎の激震エンタメ界も BTSは20万人ライブ中止、ファンがとった行動は──
・イタリアが「欧州の武漢」に なぜ感染は急速に広がったのか


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中