最新記事

日本経済

新型コロナと五輪延期のダブルショックで日本は景気後退へ

Postponing Olympic Games Will Deal Serious Blow to Japanese Economy

2020年3月25日(水)16時55分
ダン・キャンチアン

英スポーツ情報会社スポートカルの首席アナリスト、コンラッド・ウィアセクによれば、大会の主催者らは100億ドルを超える世界のメディアとスポンサー契約の維持に奔走することになるだろう。

「IOCは現在、物理的な問題とスポンサー契約への対応に頭を悩ませている。さらに外部からの圧力が加わったことで、大会の開催に関する決定を自分たちの一存で下せない状態に陥った」と、ウィアセクは23日にマスコミに向けたメモで述べた。

「4年かけて作られた事業計画が世界中で急遽、書き直されている。マーケティングの予算は他のプロジェクトに使われなければ、2021年の第3四半期に転用される可能性がある」

IOCが2013~16年の4年間で得た57億ドルの収入のうち約73%を占めるのがテレビ局の放映権料。その半分近くを米NBCが支払っている。

NBCの親会社コムキャストのブライアン・ロバーツ会長兼CEOは3月初め、東京五輪が中止になると、広告収入を主体とする同社の収益に影響がでることを認めた。4年前のリオ五輪の収益は約2億5000万ドルに上った。

「大型イベントについては万が一の事態に備えて保険に入っている」と、ロバーツは話していた。「だから仮に大会が開催されなかったとしても損失は出ないはずだ。もっとも今年は利益も出ないだろう」とロバーツは述べた。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は23日の会見で、オリンピック延期による財政的打撃がIOCと東京の組織委員会の両方にとって大きな問題となることを認めた。

(翻訳:栗原紀子)

20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、零細事業者への関税適用免除を否定 大

ビジネス

加藤財務相、為替はベセント米財務長官との間で協議 

ワールド

トランプ米大統領、2日に26年度予算公表=ホワイト

ビジネス

米シティ、ライトハイザー元通商代表をシニアアドバイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中