中国専門家チームを率いる「SARSの英雄」医師、鐘南山とは何者か
DR. ZHONG NANSHAN IS IN
鐘はその釣り合いを取るかのように、基本的に明るいメッセージを発信している。武漢から戻る電車の中で居眠りをする姿など、中国メディアは、人々のために戦う祖父のようなイメージを演出している。
SARSをめぐって政府の方針に異を唱えた人物からのメッセージとなれば、ことさら強力だ。また、鐘は武漢当局が情報を公表したタイミングを擁護して、中央政府が検査結果を承認するまで待つしかなかったと指摘。危機管理に対する厳しい非難をかわしている。
多くの医師は、今回の流行は5月から6月にピークを迎えるだろうと予想する。しかし、鐘は当初、2月4~7日が山場になると、楽観的な見方をしていた。その後、最新の動向や政府の措置を基に判断を修正したとして、2月中にピークを超えた後、4月には横ばい状態になるだろうと発言。
2月末には、中国国内では4月末までに感染はほぼ抑制されるだろうと述べた。さらに、今回は早期の発見と予防策が功を奏し、本格的な大流行は回避できるだろうと自信を見せる。
鐘の予測が正しいのか、楽観的過ぎるのか、今はまだ分からない。しかし少なくとも、彼の力強い言葉にはパニックを静める効果がある。忍耐と希望は、人間が危機を乗り越えるための基本的な能力なのだから。
©2020 The Diplomat
<2020年3月17日号「感染症vs人類」より>
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2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症VS人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。