最新記事

新型コロナウイルス

中国専門家チームを率いる「SARSの英雄」医師、鐘南山とは何者か

DR. ZHONG NANSHAN IS IN

2020年3月13日(金)12時30分
マージョリー・ペリー

鐘はその釣り合いを取るかのように、基本的に明るいメッセージを発信している。武漢から戻る電車の中で居眠りをする姿など、中国メディアは、人々のために戦う祖父のようなイメージを演出している。

SARSをめぐって政府の方針に異を唱えた人物からのメッセージとなれば、ことさら強力だ。また、鐘は武漢当局が情報を公表したタイミングを擁護して、中央政府が検査結果を承認するまで待つしかなかったと指摘。危機管理に対する厳しい非難をかわしている。

多くの医師は、今回の流行は5月から6月にピークを迎えるだろうと予想する。しかし、鐘は当初、2月4~7日が山場になると、楽観的な見方をしていた。その後、最新の動向や政府の措置を基に判断を修正したとして、2月中にピークを超えた後、4月には横ばい状態になるだろうと発言。

2月末には、中国国内では4月末までに感染はほぼ抑制されるだろうと述べた。さらに、今回は早期の発見と予防策が功を奏し、本格的な大流行は回避できるだろうと自信を見せる。

鐘の予測が正しいのか、楽観的過ぎるのか、今はまだ分からない。しかし少なくとも、彼の力強い言葉にはパニックを静める効果がある。忍耐と希望は、人間が危機を乗り越えるための基本的な能力なのだから。

©2020 The Diplomat

<2020年3月17日号「感染症vs人類」より>

【参考記事】中国専門家「新型コロナウイルス、各国が協調すれば6月までにパンデミック終息も」
【参考記事】ダイヤモンド・プリンセス号の感染データがあぶり出す「致死率」の真実

20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症VS人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国IT大手、AI訓練を国外移転 エヌビディア半導

ビジネス

午後3時のドルは156円付近へ下落、米休暇前に調整

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 容疑者は

ビジネス

JPモルガン、FRB利下げ予想12月に前倒し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中