最新記事
パニック買い

豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスーパーは個数制限で買い占め防止

2020年3月10日(火)17時50分
モーゲンスタン陽子

トイレットペーパーをめぐって乱闘...... Youtube

<オーストラリアでは新型コロナウイルスが原因でトイレットペーパーを巡って乱闘、警察沙汰になった。英・独のスーパーはパニック買い防止のために購買個数制限を導入している......>

日本では特売品が「お一人様○個限り」と制限されるのは以前からめずらしいことではないが、欧米ではあまり一般的ではない。しかし、新型コロナウイルスが原因のパニック買い防止のために、大手スーパーが続々と購買個数制限を導入している。

まるで戦時中のようだが、必需品をより多くの人々に届けるための工夫を世間は概ね歓迎しているようだ。

使いかけソープの転売、病院の消毒液盗難も

新型コロナウイルスへの恐怖からトイレットペーパーやハンドサニタイザーなどの買い占めが続くイギリスでは、テスコ、ウェイトローズ、ブーツなどの大手小売業者が次々に配給制を導入している。イギリス小売最大手のテスコでは現在、店舗・オンラインショップの両方で、トイレットペーパー、ハンドサニタイザー、パスタ、ロングライフミルク、水、缶詰、子供用の医薬品の一部などの購入が1人5つまでに制限されている。

イギリスでは政府のキャンペーンにより、便乗値上げは罰金刑の可能性があるにもかかわらず、ハンドソープやサニタイザーがeBayにて定価の50倍もの値段で流通している場合もあるようだ。インディペンデントによると、なんと使いかけの液体ソープにまで入札する人もいたり、また、イギリスの病院では、病室や受付の壁に備え付けてある消毒液を盗む人もいるようだ。

過去には砂糖や赤ちゃん用粉ミルクも対象に

ドイツのディスカウントストア大手アルディ・ノードでは、9日からハンドサニタイザー、除菌スプレー、除菌ティッシュなどを今週の特売品として売り出しているが、状況を鑑みて購入は1人につき3つまでに制限される。商品は店舗限定で、オンラインでは購入できない。

同社のスポークスマンによると、今回の売り出しはとくにコロナ対策というわけではなく、毎年の春の旅行シーズン前の定番企画のようだ。だが、週替わりの限定商品のため、個数制限をすることによってより多くの顧客に行きわたるよう配慮したという

ドイツでは2011年、ポーランド国境付近で、砂糖の値段がポーランドより半額近く安いドイツのスーパーで砂糖が買い占められたときや、2015年に中国人観光客による赤ちゃん用粉ミルクの買い占めが起こったときに、一人当たりの購入限度が設定されたことがある。粉ミルクは今回も、本当に必要とする人々の手に商品が届くよう制限する店はあるようだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米FRB、26年に2回利下げ見通し 大手金融機関が

ワールド

フィリピン中銀、0.25%利下げ 緩和サイクル終了

ワールド

中国、ウィングテックとネクスペリアの協議を支援

ビジネス

英、国民保健サービスの医薬品支出20億ドル増額へ 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 8
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中